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大言小語 〝お一人様〟ですか

「環境・防災・コミュニティ」がここ数年、住まいのキーワードになっている。ただ、本記で指摘した通り、この御三家はもはや市場での選別化にはつながらない。ポスト御三家は何か。ヒントは世帯構成の急速な変化にある。中でも単身世帯の急増が最重要テーマだろう。

 ▼一人住まいが普通となる社会は、夫婦と子からなる家族を標準世帯と称していた時代とは、価値観が大きく変容する。〝孤独死〟を単に痛ましい悲劇と受け取るだけでは済まない社会を覚悟する必要さえあるだろう。なにしろ、2030年には全世帯の4割弱が一人世帯となるのだから。孤独死は世帯主の生きざまの一つに過ぎなくなるかもしれない。

 ▼〝お一人様いらっしゃーい〟が地元居酒屋では連発されることになるだろう。地域社会では、一人暮らしの徒然を慰めることが集客ビジネスの主流になるからだ。「そういえば昔は(カウンターだけでなく)テーブル席がこの店にもあったね」――そんな会話が聞こえてきそうな未来社会。

 ▼大東建託が賃貸入居者向けの新サービスを始めた(5面参照)。そこに出てくる言葉が面白い。「目指すものはホテルのルームサービス以上」。単身世帯はいわばホテル社会だ。一人ひとりが暮らす住まいをホテルの1室とみなせば、新しいビジネスモデルがたくさん生まれるだろう。ただ、どこかむなしくないか。