政策

熊本地震、ホテルや船舶での受け入れ進まず 情報を周知徹底へ

 熊本地震の被災者に対する二次的避難場所の提供が、なかなか進んでいない。情報が行政機関の間で錯綜し、被災者に届いていない可能性がある。二次的避難が一段落しなければ、その先の住環境の確保がスムーズに進まない懸念もある。供給側と、避難場所を必要とする被災者との早急なマッチングが求められる。
 国土交通省は全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)など宿泊関連の3団体に対して、旅館やホテルにおける被災者の受け入れを要請。熊本県内で約1500人を受け入れる体制を整えている。ただ、4月19日現在で受け入れ人数はゼロ。観光庁によると「各県から各市町村に情報は下りているが、(末端の)職員にまで行き渡っていない」ため、被災者からの問い合わせにうまく対応できていない可能性があるという。同庁は現地に派遣中のリエゾンを通じて、ホテル・旅館での受け入れが可能である旨の周知を徹底する考えだ。
 同じく避難場所として国交省が用意しているホテルシップ(民間船舶)についても、利用実績がまだない。即時利用が可能なのは熊本港で待機中の2隻。寝台スペースがなく座席のみの仕様であり、現場のニーズと合っていない可能性がある。寝台スペース付きのフェリーの派遣も検討しているが、費用負担の問題を含めて熊本県やフェリーの運航会社などと調整している段階で、現時点で派遣は決定していないという。