社説「住宅新報の提言」

耐震偽装、事実認める/姉歯被告・初公判

 耐震強度偽装事件で構造計算書を改ざんし建築基準法違反や議院証言法違反(偽証)に問われた元1級建築士、姉歯秀次被告(49)の初公判が9月6日、東京地裁(川口政明裁判長)で開かれ、罪状認否で同被告は起訴事実を大筋で認めた。

 また、姉歯被告に建築士名義を貸すように依頼したとして建築士法違反に問われた建築デザイナー、秋葉三喜雄被告(46)も起訴事実を認めた。

 検察側の冒頭陳述によると、姉歯被告は収入が激減した96年ごろから構造計算書の偽装を行い始めた。証拠調べで検察側は、同被告が「金を稼ぐため改ざんを続けた。人命はできるだけ考えないようにした」などと捜査段階で供述したことを明らかにした。

 一方、議員証言法違反については、「当時は資料がなく、あいまいな記憶で証言した」と弁明した。

【今週の視点】
 今回、住宅業界のみならず社会問題までに大きくなったこの事件。結局のところ、姉歯秀次元1級建築士が全ての責任を被ったかのようなこの裁判。業界のため、社会のためにもこのまま済まして良いのだろうか。