住まい・暮らし・文化

8月の主要住宅メーカー受注金額 価格転嫁で戸建て苦戦

 8月の主要住宅メーカー受注速報(金額ベース)では、各社とも戸建て住宅の受注は前年同月を下回った。部材高騰に伴う価格改定の影響が出たとの見方が大半を占めた。一方で、リフォームや賃貸住宅の受注は、引き続き好調を維持。コロナ禍が続く中、生活の変化がもたらした新たな需要やオンライン対応などは既に定着した模様だ。

 積水ハウスは、戸建て住宅と分譲住宅は前年同月を下回ったものの計画通りに進ちょく。新型コロナの第7波の感染拡大の中、展示場来場者数の減少も、前年同月の4%減にとどまった。部材高騰に伴う価格転嫁の影響は若干あるものの、付加価値への理解が上回る状況だ。堅調に推移している賃貸住宅は、法人営業が好調。特に3.4階建てが伸び、受注金額アップをけん引。賃貸住宅のZEH化も既に6割超と順調に進む。

 大和ハウス工業は、会計基準の変更に伴う影響がマンションで顕著に出たものの、東京エリアは引き続き好調。モデルの来場者数は減っている一方で、新規顧客の決定率は高まっているとの見方を示した。今年度に入り一貫して伸長している集合住宅は、「コロナの影響で営業機会が減った前年同月のハードルが低かった」といった要因があったものの、顧客の年齢層が高く、対面型での営業機会が増えたことも後押しとなった。コロナ禍以降、大きく伸長したウェブ上でシミュレーションする住宅商品「ライフジェニック」は、前年同月並みを維持。コロナ禍に伴う変化の波は一段落したようだ。

 住友林業は、戸建て住宅においては価格改定が影響し、前年同期を下回った。リフォームは引き続き前年を上回っているものの、顧客の年齢層が高いことから、打ち合わせの延期といったコロナの感染拡大の影響が出ていると見る。ウェブの反響はコロナの感染拡大の初期に比べると落ち着いてきたが、ニーズを維持していると見ており、今後も内容の拡充を進めていく方針だ。

 旭化成ホームズは、好調だった前年同月を下回ったものの、「業績そのものはコロナ前の水準並み」とした。戸建て住宅は価格改定が影響した一方で、集合住宅は法人営業が好調を維持した。

 パナソニックホームズは、集合住宅で前年を大きく上回った。特に、都市部の多層階が前年比200%超に伸長するなど、土地活用や相続、節税といったニーズが反映されたと見る。