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大手不動産、「空」に着目 物件や街の価値高める 物流施設屋上にヘリポート 「空飛ぶクルマ」実証実験に参加

 大手不動産企業が空の活用を模索している。三井不動産は物流施設の屋上にヘリポートを設置し、ドクターヘリを運用。将来的にはドローンポートの活用も視野に入れる。また、三菱地所は「空飛ぶクルマ」の実現に向けた実証実験に参加。新たな交通インフラに対応し、街の価値向上を視野に入れる。

 三井不動産は、(株)IHI(東京都江東区、井手博社長)との共同事業として開発を進め、8月14日に竣工した物流施設「MFLP東名綾瀬」(神奈川県綾瀬市)の屋上に国内物流施設では初となるアルミデッキヘリポートを設置した。構造上の都合で軽量なアルミを採用した。

 綾瀬市との協定締結によるもので、綾瀬市消防と東海大学医学部付属病院高度救命救急センターと連携。同物件が東名高速道路の綾瀬スマートインターチェンジ近接の立地を生かし、高速道路上での事故対応や綾瀬市内の救急要請に対応し、早期に治療を開始するための活動拠点としての利用を目的に設置した。

 三井不動産によると、高速道路にはドクターヘリを降ろすことが難しく、スマートインターチェンジ近くにアルミデッキヘリポートがあると高速道路上の重大事故にも早期に対応できるという。

 三井不動産では、物流施設の屋上に関して、今後ドローンポートとしての活用等も検討。今回のヘリポート設置も含めて、物流施設の屋上の活用による不動産価値の向上を探っていきたいとしている。

eVTOLポート運営視野に

 三菱地所、日本航空、兼松の3社は、東京都の「都内における空飛ぶクルマを活用したサービスの社会実装を目指すプロジェクト」公募に対する提案が採択された。

 同プロジェクトでは、22年度に都心の主要な拠点を結ぶ移動サービス(都市内アクセス)、空港からの二次交通(空港アクセス)、離島地域における移動サービスや遊覧飛行など、都内での様々な空飛ぶクルマのビジネスモデルを検討。23年度にヘリコプターによる運航実証、24年度に空飛ぶクルマによる運航実証、離着陸場オペレーションの検証を通じて、運用の課題や収益性などを検証する。

 空飛ぶクルマは、都市内、都市間などの新たな交通インフラとして期待されている技術。三菱地所は、これに先進的に取り組むことで、街としての価値向上に寄与すると考えている。更に丸の内、みなとみらいなどの自社アセットだけでなく、国内全体で実装に取り組み、従来の不動産事業とは異なるeVTOL(電動垂直離着陸機)ポート運営の事業化につなげる意向だ。

 三菱地所は、御殿場アウトレットおよび酒々井アウトレットでのヘリコプタークルージングサービスの実証実験を実施。ユーザーニーズの把握や社会的受容性の醸成に貢献しており、25年以降の実用化に反映していく。