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コロナ禍でも持ち家からの住み替え増加 共働き増え、購買力が増す 三井不レジが住宅契約者アンケート調査

 コロナ禍も2年目を迎えた21年度、住宅購入のきっかけとなった層にも変化の兆しが出ている。三井不動産レジデンシャルは、20年度に引き続き、「21年度版コロナ禍における住まい選び契約者アンケート調査」を実施した。それによると、コロナ禍で住宅購入の検討者は、20年度と比べて10ポイントも持ち家層が増えた。賃貸住宅からの住み替えが減少し、20年度に住み替えを控えていた持ち家層が動き出したものと見ている。また、同社のマンション価格に対する契約者の平均年収倍率は約6.3倍で、高騰するマンション価格に対しても顧客の負担が高くなっているわけではないと見る。

 調査は、同社が販売したマンションを20年度と21年度(4~12月)に契約した契約者を対象にしたもの。インターネット調査で、回答数は1070件に及ぶ。

 契約者のうち、コロナ禍が住宅購入検討のきっかけとなったのは、20年度は26%だったのに対し、21年度は31%に増加。不可逆的な「働き方・住まい方の多様化」による生活スタイルの変化が住宅購入に影響していると推察している。

 住宅購入の検討理由として、80%が在宅勤務を理由として挙げている。この傾向は20年度と変化はなく、「テレワーク中心のため、仕事部屋が欲しい」「利便性とのバランスだが、原則テレワークとなり、住み心地を重視したくなった」という声が寄せられた。

 コロナ禍が住宅購入のきっかけとなった人ときっかけとなっていない人を比較すると、「広さ」が最も多い購入動機となり、20年度から変化はない。「金利が低い」は20年度よりも増加し、全体でも2番目に高い購入動機となっており、低金利が堅調な住宅市場を支えている要因になっていると見られる。

 一方、きっかけとなった人の生活利便性や交通利便性などの「住環境」の割合が上昇しており、通勤と在宅が混在する働き方が定着したためと推測されている。

 20年度、21年度の契約者のうち、63%が共働き世帯で、特にコロナ禍が購入のきっかけとなった人は、なっていない人と比べて14ポイントも高い。共働き世帯のうち、ペアローンを利用している世帯は、20年度の46%に対し、21年度には52%に高まっており、世帯年収が上がっていることが現在の堅調な住宅市場を支えていると結論付けた。

 21年度の契約者の世帯年収は平均1380万円で、同社のマンションの平均価格8660万円と比較すると年収倍率は約6.3倍。契約世帯年収の内訳は、単独世帯が平均1330万円、共働き世帯が平均1470万円(世帯主830万円、共有者640万円)で、顧客の負担が大きく変化しているとは言えず、同社では「顧客の(資金的な)体力が好調なマンション市場を支えている」と分析する。