総合

大言小語 生きる闇

 自然災害、パンデミック、大国による戦争まで始まった。まさに「何が起こるか分からない時代になった」。21世紀は自然も人間社会も千々に乱れる〝闇〟の時代になるのだろうか。

 ▼人間にとって最大の恐怖が「生きる闇」である。道を踏み間違え、善と悪との境を見失い、最後は自分さえも見失う。後悔しない唯一の手立ては人間は誰もが闇から逃れられない存在であることを知ることだ。つまり、自分が無知であることを知り、常に過ちを犯しかねない存在であることを自覚し、謙虚になることである。

 ▼不動産ディベロッパーが賃貸住宅に力を入れ始めた。我が国は持ち家、分譲住宅、賃貸住宅で平均床面積に大きな開きがある。「何が起こるか分からない」不安な時代だからこそ、せめて生活の基盤である住宅は、持ち家か借家かにかかわらず国民の生活を安寧に支えるものでなければならない。業界はその社会的使命を負っている。

 ▼コロナ禍では多くの人が孤立し、若い女性に自殺者が増えた。心の闇が深まっている。情報化社会と言われながら、人と人との関係が薄れていくのはなぜか。マスコミやネット社会の膨張が人間の人間に対する感性を逆に失わせているのではないか。自分を自分と自覚する唯一の手段である感性が鈍れば人は自分を見失う。闇を照らし、人と人との心を繋ぐ言葉とはどういうものかを考える時代でもある。