政策

5%増の85.6万戸 21年住宅着工 5年ぶり増も直近10年で低水準 国交省

 国土交通省は1月31日、21年の建築着工統計調査報告を発表した。年間の新設住宅着工戸数は前年比5.0%増の85万6484戸で、5年ぶりの増加となった。コロナ禍に伴う緊急事態宣言や住宅展示場の営業休止などの影響が顕著だった20年と比べ、持ち家、貸家、分譲戸建てで増加に転じたため。ただ、直近10年間では下から2番目の低水準。新設住宅着工床面積は7066万6000m2(前年比6.3%増)で、同じく5年ぶりの増加となっている。

 戸数の内訳を見ると、持ち家は28万5575戸(同9.4%増)で前年の減少から再び増加に転じた。増加幅は1割弱で、直近10年間では上から5番目の水準だった。

 貸家は32万1376戸(同4.8%増)で4年ぶりの増加。直近10年間では下から3番目の低水準ながら、21年は3月以降、10カ月連続で前年同月を上回っており、回復傾向がうかがえる。 

 分譲住宅は前年比1.5%増の24万3944戸で、昨年の減少から再び増加となった。マンションが10万1292戸(同6.1%減)で2年連続の減少となり、10年間では最も低い水準。戸建ては14万1094戸(同7.9%増)で増加に転じており、これは10年間では上から3番目の水準だった。

 分譲マンションを除いた各分野で前年より増加しており、19年10月の消費増税や新型コロナウイルス感染症の影響等による住宅需要の落ち込みが現われた前年から回復の兆しが見えてきたようだ。なお、同省建設経済統計調査室では、分譲マンションについて「着工戸数は大規模案件の影響を受けやすいが、コロナの影響で減少が続いたとは言い切れない」と説明。加えて、物件が小規模化しているわけではないとし、21年は規模に関わらず着工が減っている点を指摘した。他方、分譲戸建てについては「事業者のヒアリングでは20年末から土地の仕入れを増やしており、販売の好調さが続いたため」(統計調査室)と説明した。

12月着工は10カ月連続増

 併せて発表された21年12月の新設住宅着工戸数は、6万8393戸(前年同月比4.2%増)で10カ月連続の増加だった。新設住宅着工床面積は570万2000m2(同5.9%増)で9カ月連続増。

 内訳は、持ち家が2万2731戸(同0.4%減)で14カ月ぶりの減少、貸家が2万5222戸(同3.3%増)で10カ月連続増、分譲住宅は1万9927戸(同13.1%増)で3カ月連続増。分譲の内訳は、マンションが7091戸(同15.3%増)で2カ月連続の増加で、戸建てが1万2723戸(同12.4%増)で8カ月連続増となった。今後の見通しについて同省住宅局の担当者は「資材価格の高騰や新型コロナの感染再拡大による影響など、市場動向を注意深く見ていく必要がある」と説明した。