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賃貸経営新思考(下) 修繕積立金が経費に 資産価値維持し安定経営へ 修繕計画策定に弾みか 分譲への流れストップ効果も

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東洋エステートサービスの改修事例。若い単身者が多い物件では外壁をツートンカラーに 改修前の物件外観
 将来の大規模修繕に備えて分譲マンションの区分所有者は毎月、修繕積立金を積み立てているが、住戸を第三者に貸し出した場合はそれを毎年経費に算入することができる。1棟アパートオーナーでもそうした修繕積立金を経費化できるように、賃貸関連団体が主となり、共済組合に積み立てれば損金算入が認められる制度が発足した。オーナーの計画修繕に弾みがつくと期待されている。(井川弘子)

 積立金損金算入制度は、全国賃貸管理ビジネス協会と日本賃貸住宅管理協会、全国賃貸住宅経営者協会連合会の3団体が協力して関係機関に働きかけて実現した。オーナーの修繕積立金を共済掛金とすることで損金として認められるもので、まずは「屋根」と「外壁」の工事を対象にスタートする予定だ。具体的な開始時期などはまだ公表されていないが、順調に稼働すれば賃貸住宅市場全般に与えるインパクトは大きい。賃貸住宅入居者の快適な居住環境の確保や、家主の資産価値維持にもつながっていく。そのためにも長期修繕計画の普及が期待される。

解体時期から逆算

 都内と神奈川で約8500戸を管理している東洋エステートサービス(東京都調布市)の安藤貴弘取締役は、同制度について「銀行の融資姿勢が厳しくなる中、オーナーが修繕資金を確保しやすくなる」として期待を寄せる。

 同社は、オーナー向け大規模修繕提案「zero+(ゼロプラス)」を7年ほど前に開始。昨年9月には専門部署を立ち上げ、積極化している。同提案は、賃貸経営の事業性を高めるために、建物の解体時期から逆算して計画的な修繕提案をするのが特徴だ。

 オーナーの意向を確認し、現状把握(建物調査、入居者属性や相場賃料などのマーケット調査)を行った上で、事業方針を固める。あらかじめ事業年数(解体までの年数)を設定するため、「大規模修繕の時期にかかっていても、残りの事業年数が5年ならば他の方法で維持していこう」などと提案し、資金を有効に使うことができる。工事内容も「建物の見た目」ではなく、入居者からの要望を重視し「住む人を主役」に考えることで、その後のオーナーの安定収益を支えている。

 資金調達を理由に先延ばしになりがちな大規模修繕だが、「zero+」担当者の榎本善幸氏(第1営業部2課課長代理)によると、オーナーに提案する際、「自身の年齢を意識してもらうと受け入れてもらいやすい」という。70歳のオーナーが、20年以内にはそのアパートを資産として子供に譲ると想定すれば、いつどのような修繕を行うべきかが見えてくる。意識が高まり、時期を前倒しして実施するオーナーも増えてきたという。

 日本財託(東京都新宿区)も昨年10月に、オーナーに対して収益改善策を提案していく専門部署「ソリューション事業部」を新設した。同社の管理戸数は都心のワンルームマンション(住戸単位)が主だったが近年は1棟アパートの比率が増えている。共用部を含めた改善提案で、オーナーの資産価値を高めることが役割だ。具体的には、賃料アップに寄与するリノベーションや設備の充実、共用部の電気代などランニングコストの削減策や、ホームステージングなど空室期間を短縮する提案を行っている。

    ◇    ◇

 賃貸住宅のオーナーはこれまではいずれは退去する〝仮住まい派〟を主なターゲットとして経営を行ってきたが、今回の制度をきっかけに、これからは居住環境の改善に努め、安定的長期入居者を確保しようとする経営意識が高まる可能性がある。

 一般的には賃貸と分譲住宅との間に大きな居住環境の差があるため、これまでは賃貸から分譲へという一方向の流れが続いてきたが、今後賃貸住宅の居住環境が徐々にでも改善されていくと、そうした流れに変化が生まれる可能性もある。

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