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大和ハウス 東日本最大の物流施設稼働 無人搬送ロボ導入、EC系が入居

 大和ハウス工業は千葉県流山市で進めている「DPL流山プロジェクト」(4棟の物流施設で構成)において、3棟目の完成物件となるマルチテナント型物流施設「DPL流山Ⅳ」(以下「流山Ⅳ」)を11月1日から稼働した。「流山Ⅳ」は東日本では最大(竣工ベース)、同社でも最大の延べ床面積を誇る。EC系の企業の入居を見込んだ空間設計を施し、リーシングは7割が契約済み。同プロジェクトでは雇用創出で約6000人を見込む。

 「流山Ⅳ」は常磐自動車道「流山IC」から約2.5キロの距離に位置する。敷地面積は13万5592m2。延べ床面積は32万2299m2となり、同社では最大規模。建物はプレキャスト・プレストレストコンクリート造(一部鉄骨造)・免震構造の5階建て。車路を挟み、北棟と南棟の2棟一体構成。各階に両面トラックバースを採用した。

 1フロアの延べ床面積では約7万7000m2を確保。庫内スペースは最大で幅が約300メートル、奥行きが約210メートルの広さだ(車路含む)。10月26日の会見で大和ハウスの浦川竜哉取締役常務執行役員は「従来の物流施設としては考えられない、人間同士の作業では効率が悪い広さだ。しかし、自動化、AGV(無人搬送車)などロボット化を進める上では、広いほうが効率はよくなる。EC(電子商取引)を意識した物流施設だ」と説明した。無人搬送ロボットは50台を配備する。

 リーシングは10月31日の竣工前に7割が成約済みで、通販、アパレルメーカーのEC物流などEC系の企業が入居する。残りの賃貸面積にも多くの申し込みがあり、早期の満床を予定する。

 雇用創出は「流山Ⅳ」で1500人規模。稼働済みの「DPL流山Ⅰ」「DPL流山Ⅲ」、23年3月竣工予定の「DPL流山Ⅱ」を合わせた4棟合計で最大6000人規模の雇用を見込む。

働き手や住まいに配慮

 一方、施設で働く従業員のために、368席あるカフェテリア、コンビニエンスストアを設け、テナント企業の従業員専用の保育施設(子供60人収容)も5階に配備した。「DPL流山プロジェクト」では、人手不足解消のために、働き手が複数のテナント企業で働ける「マルチ派遣」を導入した。通勤のために、グループ会社の大和リビングによる賃貸住宅の情報提供、入居時の諸経費優遇も行う。

 4棟の施設に一体感を持たせ、外観への配慮としてサクラやクスノキなどの「並木ゾーン」を配置。「流山Ⅳ」の敷地には四季を感じられるように「四季のひろば」を設けるなど植栽に配慮した。

 同プロジェクトは単なる物流施設開発にとどまらず、働き手や住まいに配慮したもの。現在、同社は全国8カ所で郊外型の大規模住宅団地・ネオポリスの再生事業を展開しており、「上郷ネオポリス」(横浜市栄区)や「緑が丘ネオポリス」(兵庫県三木市)の近くに物流施設を開発する。団地の活性化のために、居住者の希望に応じて物流施設での雇用の受け入れを想定している。