マンション・開発・経営

オリックスGが住宅事業で新たな試み 環境負荷低減やスマート化加速

 大京などオリックスグループの不動産事業会社が、マンションの開発や関連分野で新たな試みを加速させている。環境対応や再生可能エネルギーの利用、入居者対応のデジタル化など、時流への対応に注力する取り組みをまとめた。

100%再エネのマンション

 大京は11月、大阪府茨木市で関電不動産開発との共同事業「ライオンズ茨木総持寺ステーショングラン」(14階建て、全279戸)の販売を開始する。同物件は専有部および共用部で使用する電気を、実質的に100%再生可能エネルギー(再エネ)で賄う仕組みで、関西圏の単独分譲マンションとしては初の事例。また同市内では初のZEH-M Oriented取得物件でもある。

 同物件で使用する電気は、再エネ由来の非化石証書を持つ電気を高圧一括受電し、建物全体に供給する方式。また再エネ設備も導入し、断熱性や設備機器の性能を高め住棟全体のエネルギー消費量を削減して、ZEH-M OrientedのほかBELSや同府の建築物環境性能表示制度の最高評価も取得している。竣工は23年2月下旬の予定。

リフォーム現場で環境配慮

 10月25日には、大京穴吹不動産がマンションのリフォーム工事現場で使用する養生シートを、廃棄物由来でリユース・リサイクル可能な素材を使用した製品に切り替えると発表した。

 同製品はオフィスビルなどから排出されたタイルカーペットを再資源化したもので、繰り返し使用した後に再樹脂化・再製品化が可能なもの。従来のブルーシート使用時と比べCO2排出量を約57%削減可能で、脱炭素化と共に廃プラスチックの削減など環境面への配慮を強く意識した取り組みと言える。

独自の宅配ボックス開発

 住宅設備の性能向上にも取り組む。大京は同月19日、分譲マンションの各住戸用宅配ボックス「ライオンズスマートボックス」を開発し、同月に東京都葛飾区で着工した物件に初導入すると発表。ECの拡大や在宅時間の増加など、社会情勢への対応を図っている。

 同製品はフルタイムシステムとの共同開発で、同社の提携事業者が専用ICカードを用いて各住戸の玄関まで配達物を運搬するシステム。

 各住戸に配置するため、エントランス等の共用宅配ボックスまで移動する必要がないことに加え、一般的な宅配に限らずクリーニング業者などとも提携することで、従来の宅配ボックスよりも利用者の快適性を高めていく方針だ。

賃貸の書類をスマホで

 賃貸住宅においても、デジタル技術による利便性向上を促進。オリックス不動産は9月、賃貸マンション「ベルファース」に、凸版印刷の提供するデジタル書類管理サービス「イエマネ」を導入。賃貸マンション入居者向けの同サービス導入は初めて。

 同サービスは、賃貸マンションの家電や住宅設備の説明書・保証書をクラウド上で管理し、入居者がスマートフォンなどで閲覧できるというもの。入居者の利便性向上やペーパーレス化、書類の一元管理による効率化などが狙い。今後も同シリーズすべての物件で標準採用していく。