マンション・開発・経営

都環会が第20回勉強会開催 スルガ銀事件学び襟正す

 投資用マンション関連企業を中心とする「新しい都市環境を考える会」(北田理会長、入澤智文座長)は5月31日、第20回勉強会を開いた。新型コロナウイルス感染症への対策を鑑み、参議院議員会館講堂での現地参加とオンライン参加を併用したハイブリッド方式で実施した。

 今回は「スルガ銀行・シェアハウス事件から何を学ぶか」をテーマに、同事件の被害者団体の弁護を務めた河合弘之弁護士(さくら共同法律事務所)が講師を務めた。河合弁護士は、スマートデイズとシェアハウス〝かぼちゃの馬車〟、スルガ銀行を中心とした一連の不正事件の経緯や構造と共に、調査の過程で明らかになった不正の手口と悪質さなどを説明。

 また「不動産関連詐欺の多くは、借金をさせて資産以上の被害を与え、人の人生を破壊してしまう」と述べ、被害者救済に向けて行った戦略と成果について熱を込めて語った。更に河合弁護士は、「スマートデイズ事件の代物弁済で、スルガ銀行は約2000億円の不良債権を抱えることになったが、同様の不正手口による中古1棟マンション融資も8000億円程度行っている。更に厳しい戦いとなるが、こちらの被害者の弁護にも着手した」と明かす。

 そしてこれらの不正や被害をよく知る立場から、「都環会の会員はワンルームマンション関連の事業を手掛ける事業者が多いことと思うが、顧客には物件の正しい価値とメリットを伝えることが必要。購入の押し付けなどは、相手の人生を台無しにしてしまうということもあると理解し、正しい手法で正しく利益を上げることがビジネスの大前提だ」と説明した。

 また冒頭、北田会長は「今回の講演を現場のコンプライアンスなどに生かし、業界の健全化と発展につなげてもらえれば」とあいさつ。閉会に際しては、入澤座長が河合弁護士の話を踏まえ、「時に現場の営業担当者が大きなことを言ってしまうこともあるかもしれないが、消費者の人生を壊すようなことがあってはならない」と戒めた。