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空き家対策を自治体に提案 クラッソーネ、ジェクトワン 情報発信、利活用に民間の力を

 解体工事の一括見積もりウェブサービスを運営するクラッソーネ(名古屋市中村区)は5月25日、地域貢献型空き家活用サービスを展開するジェクトワン(東京都渋谷区)と共同で「社会問題化する空き家対策」をテーマにオンラインセミナーを開いた。今回のセミナーは行政・自治体を主な対象として開催。講演と共に、行政担当者を交えたトークセッションも行われた。視聴者数は100人超。

 クラッソーネは空き家所有者の意識調査を実施しており、講演では同社取締役COOの堀口晃司氏が調査結果を踏まえ、「約6割が対策の意識を持っているが、30代と70歳以上とでは大きく意識が異なる」と指摘。30代は空き家の活用・処分の意向が高く、70歳以上は低いという二極化が進んでいるという。また、行政に対しては補助金の充実、相談窓口の設置、固定資産税が上がらない仕組みづくりへの要望が高かった。

 続いて、ジェクトワン代表取締役の大河幹男氏が講演。東京都の空き家所有者へのアンケート調査(同社実施)を踏まえ、「空き家を所有して1年未満の人と、10年以上放置している人は問題認識が特に低い」と説明した。

情報発信に課題

 トークセッションでは、堀口氏、大河氏に加え、墨田区の空き家対策係 都市計画部危機管理担当係長の川口吉昭氏を招へいした。川口氏は「墨田区の空き家所有者は墨田区以外に在住している人が多く、情報発信の難しさがある」と行政の課題を挙げた。堀口氏は「確かに市区町村だけでの情報発信には限界があり、そこは民間が力を入れるべきところ」と回答した。

 無接道敷地、長屋建て、超狭小敷地といった市場性の低い空き家への対応も課題に上った。大河氏は「道路付けの悪い物件を再生したケースがある。それは倉庫兼事務所で10年ほど空き家だったが、国道との近さ、横浜・川崎エリアという特性を踏まえ、セキュリティの高いバイク置き場に改装した。(市場性の低い物件も)考えようによっては、いくらでも再生できる道があるのでは」と述べた。