売買仲介

DX加速で業界の未来は 安心ストック協 コロナ後考えるシンポ

 既存住宅取引の活性化を目指す安心ストック住宅推進協会(代表理事・高橋正典価値住宅社長)が4月19日、「『アナログ』VS『デジタル』~コロナ後に備える不動産業界の未来」と題したオンラインシンポジウムを開催した。

 前半部では官民の専門家が、新型コロナやデジタル化、既存住宅流通といったキーワードを踏まえて基調講演を行った。全国宅地建物取引業協会連合会不動産総合研究所の岡崎卓也氏は、コロナ禍の前後における市場動向の変化やデジタル化の状況を説明し、「DXで創出した時間や人手を顧客に向けることが大事だ」と考えを述べた。

 国土交通省住宅瑕疵(かし)担保対策室の早坂和泰専門調査員は、国の調査を基に既存住宅市場の動向を提示すると共に、3月に安心ストック協が登録団体となった安心R住宅制度の詳細を解説した。

 続いて行われたパネルディスカッションでは、LIFULL HOMES総研の中山登志朗副所長、Housmartの針山昌幸社長、住宅新報の桑島良紀編集長が登壇。ファシリテーターは高橋代表理事が務めた。

 コロナ禍で不動産業界のデジタル化およびDXが進む中、どのような変化が起きるかについて意見を交換。桑島編集長は「デジタル化できる業務は積極的に置き換え、それ以外の部分で発揮する個性により事業者の差別化が進むのでは」と考えを語った。

 中山副所長は「大切なのは消費者に選択肢を提示することであり、オンラインとオフラインの融合、〝OMO〟(今週のことば)が適切だろう」と指摘する。また針山社長は、DXの加速により「変化が速く、常にトライアンドエラーが求められる時代」となったため、「行動を素早く切り替えやすい中小規模の組織が有利だ」と述べた。

 高橋代表理事はこうした意見交換を受け、「アナログ対デジタルとテーマを掲げたものの、両者は融合が進んでいくのかもしれない。今後も検証が求められる」と結んだ。

「売却の窓口」総会も

 同シンポジウムに先立ち、価値住宅が運営する不動産売却ネットワーク「売却の窓口」の21年総会も開催。「インスペクション」「瑕疵保険」「媒介獲得」の各部門における加盟店表彰などが行われた。