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社説 不動産テックの光と影 無自覚の「AI効果」に留意せよ

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 不動産テックには光と影がある。光はテックの普及を機に不動産業務の分業化が進むと予想されることだ。例えば、ポータルサイトを見て資料請求をしてきた客への対応を専門に請け負う不動産テック会社がある。同社は過去の膨大なデータから、問い合わせてきた人の年代、時間帯、物件の種類などを分析し、こういう対応をすれば物件案内に結び付くということをAIに学習させ、その助言に基づいてオペレーターが対応している。アポイントが取れると不動産会社につなぐシステムで、その成功率は8割以上という。

 物件案内は営業マンのコア業務だから最後まで〝人間〟が主役となるべき業務だが、物件決定後の住宅ローンの選択や、クロージングとなる契約書の作成などについては、AIを駆使したコンサルティングやリーガルチェック部門が行うようになっていくだろう。分業化が進めば、営業マンは本来のコンサル的業務に特化できるので、顧客ニーズの掘り下げなど営業能力を深化させていくことができる。では、テックの影とは何か。

 人間はAIによる技術が普及し、それが当たり前になるほど、それを高度な知能ではなく単なる自動化技術で、人間生活の一部とみなすようになる(AI効果)。 例えば初期のAIである自動洗濯機や髭のクセを感知する電動カミソリ、仮名漢字変換などは今や誰も高度な知能とは思わないだろう。今注目の自動運転技術もいずれは人間生活に溶け込み、誰もが当たり前と思う時代がやってくる。つまり、機械が人間の生活に入り込み、人間と一体化していくことを人間は科学技術の進歩、文明の発達として受け入れてきた。そこにある落とし穴とは機械の人間化と同時に、人間の機械化・ロボット化も進んでいるのではないかということだ。「そんなバカな」と言われそうだが、不動産テックを見ても人間を一定の法則の下で反応するロボットのように見立てて開発しているものが多い。例えば、住まいを購入しようとしている人間が一番気にすることは物件についてはここと、ここ。住宅ローンについてはこういう不安を抱くから、こういう点を説明すれば安心するというように。住まいの選択から購入までの過程がシステム化・自動化されていくことに人は便利さは感じても人間の考える能力が機械に代替されているという感覚は抱かないのではないか。

 AI研究者の中には人間の能力が機械に取って替わられることは問題でも何でもなく、人間の進化の過程に過ぎないと考える人さえいる。そろばんから電卓に代わっても人間のロボット化と思う人はいないということだ。それでいいのだろうか。営業マンのコアの仕事は物件案内でそこだけは「人間が主役」になると述べた。住まいという生活基盤をあっせんする仕事だからこそ、そのことの意味を改めて確認したいと思う。

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