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戸建ての受注残は前年水準 積水ハウス 賃貸住宅ZEHも好調

 積水ハウスは3月5日、オンラインで経営説明会を開いた。21年1月期(20年度)の戸建住宅事業の受注残高は1758億円(前年同期比0.1%減)を確保。仲井嘉浩社長は「ハードとソフトの提案が功を奏し、受注は昨年8月から大きく回復した。前期と同様の受注残で今期(21年度)のスタートを切れている」と説明した。

 同社は戸建住宅事業で価格帯別に3ブランド戦略を展開している。中高級商品(2ndレンジ)と高級商品(3rdレンジ)が順調に推移しており、全体の1棟単価は19年度の3993万円から20年度は4138万円に上昇した。主力の中高級商品の平均単価は約3300万円であり、将来的には約3500万円を目指す。

 大空間リビング「ファミリースイート」の採用率は約60%であり、昨年12月には換気、空気清浄が一体となった室内環境システム「スマートイクス」を投入している。仲井社長は「新たな価値を提供することで対価をいただく。新たな価値を提供しないと1棟単価は上がらない」と説明した。

 一方、賃貸住宅事業はホテルなどの非住宅で厳しさを見せるが、受注は回復傾向であり、受注残高は3742億円(同1.1%減)となった。中でも高付加価値賃貸住宅「シャーメゾンZEH」の年間受注戸数は2976戸となり、中期経営計画(期間は20~22年度)で掲げた最終年度目標の2500戸を前倒しで達成した。仲井社長は「加速度的に増やしていきたい。賃貸住宅は入居者が入れ替わる。断熱性能が高く、太陽光発電が付いて光熱費が削減できる生活体験のパイ(総量)が増える。社会的な意義が大きい」と抱負を述べた。次期中計の初年度目標で4000戸を設定する。

 賃貸住宅のフィー事業は管理室数が65万7190室(同2.7%増)、入居率が横ばいの97.7%と高水準を維持する。平均賃料の上昇は5年前と比べ、全国で約5300円、東京では約7300円となる。

 中計の3カ年で不動産投資額(国内)として6800億円を設定している。20年度は分譲住宅事業で794億円、マンション事業で698億円、都市再開発事業で932億円を実施。進ちょく率は35.7%と順調に推移した。

仲井社長、会見で説明

 同社は3月4日の取締役会で阿部俊則会長、稲垣士郎副会長、内田隆副社長が代表取締役から退くことを決議した(阿部会長と稲垣副会長は非常勤・無報酬の特別顧問に就任予定)。3月5日の説明会で仲井社長は「3年間で多くのガバナンス改革を行ってきた。一番感謝したいのは取締役会の活性化。社外取締役も交え、非常に活発な議論ができる取締役会になった。社外取締役の人選も会長自身が奔走したもの。改革の項目だけでは表せないことを進めていただいた」と説明した。