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東京カンテイ 「マンションデータ白書2020」を発表 首都圏、新築・中古共に最高値更新

 コロナ禍が猛威を振るい、販売自粛など大きな変化に見舞われた20年の住宅・不動産市場。東京カンテイがこのほど発表した「マンションデータ白書2020」(『カンテイアイ106号』)では、コロナ禍の影響を注視しながらマンション市場の動向を分析した。新築供給戸数の減少が際立つ半面、価格は新築・中古マンション共に上昇傾向が続いている。

供給7万戸台はリーマン以来

 同白書によると、20年の全国の新築マンション分譲戸数は前年比14.0%減の7万3765戸。7万戸台の水準となるのはリーマン・ショック直後の09年以来で、特に首都圏(3万6535戸、前年比14.5%減)や近畿圏(1万5572戸、同18.0%減)の供給減が目立つ結果となった。新築マンションの販売スタイルの変化や都心部の用地取得難の影響から19年時点で供給戸数の伸び悩みは見られていたが、より一層供給戸数が絞り込まれたためだ。

 首都圏の新築平均価格は6055万円(前年比2.6%上昇)で、6000万円を超えるのは同調査開始以来初。コロナ禍で不動産価格の下落が懸念されたが、17年以降4年連続で上昇しており、同社では「底堅いニーズが見込める東京都心部や一定の人口規模を持つ都市に供給が集中したことが要因」と分析する。

 平均専有面積は61.09m2(前年比3.2%減)で、2年連続で縮小。平均坪単価は前年比5.9%上昇の327.7万円で10年以降の最高値を更新している。首都圏の1戸平均価格は19年以降大きく水準を上げたが、15年以降の価格帯別供給シェアの推移を見ても、高価格帯である5000万円以上と1億円以上の合計シェアは18年までの40%台から、19年に53.9%、20年に55.3%とシェアを急拡大。首都圏新築市場において東京都心部の高額物件の供給に注力する近年の傾向はコロナ禍でも継続した。

中古の築古化進む

 一方、首都圏における中古の1戸平均価格は3487万円で、19年(3395万円)から2.7%上昇。14年(2710万円)から7年連続で上昇し、コロナ禍で価格が下落する傾向は表れていない。その理由について、同社ではコロナ禍でも新築が根強く上昇を続けたことで中古価格の相場形成に支障を来さなかったこと、新築の供給戸数が減少したことで中古市場が住宅購入ニーズの受け皿となった点を指摘する。

 平均専有面積は61.95m2で前年から2.3%拡大した。平均坪単価は186.1万円(前年比0.4%上昇)と3年連続で180万円台の水準だ。一戸平均価格同様、14年以降上昇を続け、共に10年以降最高値を更新した。

 首都圏の築年別流通シェアの推移では、「築20年以上」が15年の52.5%から20年には62.7%まで拡大。新築の供給減少傾向に対し、マンションストックの築年数が年々築古化しているためだ。他方、「築5年以上10年未満」の築浅のシェアは15年の16.1%から年々縮小し、20年には8.4%とほぼ半減。同社では「今後も新築大量供給時代のストックが続々と築20年を迎えることから、中古市場の築古化がより一層強まるはずだ」としている。