売買仲介

未来都市開発 舟越裕介社長に聞く 仕入れ強化で「攻めの1年」 拠点拡大へ着々、横浜に準備室も

 東京都心を中心にリノベーションマンション事業を展開する未来都市開発(東京都中央区)。1都3県への出店計画の足掛かりとして2月、横浜市内に準備室を立ち上げた。営業体制、仕入れの強化を図り、今期は販売戸数660戸、売上高200億円を目指す。同社の舟越裕介社長(写真)に〝攻めの1年〟の展望を聞いた。 (聞き手・佐々木淳)

 ――前期(20年9月期)の振り返りと要因分析を。

 当社は東京都内を中心に展開してきた。近年はより都心部にシフトしており、山手線の内側を〝特区〟と位置付けている。前期の年間販売戸数は550戸、売上高は166億円で約5%の減収となった。新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が発出された昨春、在庫処分を進めたことで利益率が下がり、通期では減益となった。

 一方で、夏以降に需要は回復し、足下の売れ行きも好調だ。その背景にはステイホームやリモートワークに伴う家族との時間の過ごし方やユーザーの志向の変化があり、住み替えにつながったと見る。

 ――足下の市況感と今後の予測は。

 20年の首都圏新築マンション供給戸数は3万戸を下回り、平均販売価格も6000万円以上と高止まりしている。低金利は続き、中古住宅購入のための税制優遇措置も後押しすることから、今後も中古マンション市場は堅調に推移するだろう。

 他方、足下では売り物件が減少しており、前年同月比で14カ月連続マイナス。需給は不均衡で、仕入れがしにくい状況が続く。仕入れは50m2以上のファミリータイプをメーンとしているが、現状は新耐震基準6割、旧耐震基準4割の内訳だ。特区では物件の築年数にこだわらずに立地性を優先する戦略を取るため、販売価格が上昇しており、前期平均は3800万円~3900万円となった。税制メリットが出てくる40m2台も視野に入れ、23区内で様々な物件を手掛けることでリスクヘッジを取る考えだ。

 ――今期の施策について。

 今期は販売戸数660戸、売上高200億円を目指す。現在の在庫回転率は平均4.5カ月(140日間)とやや長期化傾向にあるが、仕入れ戸数を増やす中で回転速度を上げていきたい。

 今期は秋に横浜へ出店する計画だ。これまでも中期的に1都3県へ営業拠点を拡大する構想はあったが、昨夏以降の買い需要の好調さも受け、判断した。横浜管轄の物件取引はあったが、仕入れの強化を図っていく。まずは2月1日に準備室を立ち上げており、体制を整え、10月の支店化を目指す。従来の東京都心部から商圏を広げていく。横浜でも実需のファミリー向けマンションを主力としつつ、中心区では1LDKや2DKなども対象とし、単身者やDINKSなども取り込んでいく狙いだ。

 人員体制については中途採用を推進し、即戦力の強化や組織の活性化を進める。逆境の時こそチャンスと受け止め、攻めの1年としたい。