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入居者の収入不安を重視 ライフル コロナ禍で「住宅弱者」調査

 ライフルは今年8月、「ライフルホームズ」に加盟する全国の不動産事業者を対象に、「住まい探し」の実態調査を行った。様々なバックグラウンドを理由に住まいの選択肢に制限がある人を「住宅弱者」と定義し、その実態把握を目的とした調査の第2弾。第1弾では「住宅弱者」自身を調査対象としたが、今回は住宅弱者を取り巻く課題を顕在化させる目的から、不動産事業者を対象とした。

 同調査によると、新型コロナ感染拡大前後を比べると、不動産事業者が入居希望者を審査する上で、より家賃収入面の安定に直結する項目が重視されるようになったことが分かった。感染拡大前は「年収」(56%)、「人柄・身なり」(49%)、「年齢」(43%)と人間性等が重視されたが、感染拡大後では「年収」(29%)に続いたのは「勤務先」(25%)、「職業」(22%)となり、貸す側における収入面の不安増加の可能性がうかがえた。

 賃貸管理事業者(N=198)が外国籍の人への賃貸契約で実際に困った問題では「入居ルールを守ってもらえなかった」が57%で最多。同様に高齢者との賃貸契約では約半数の47%が「連絡のない急な退去や孤独死に困ったことがある」と回答した。

 更に、今後「住宅弱者」からの入居希望を受け入れるために必要と考える項目(N=193)では、「不動産会社やオーナー側の理解」(56%)、「入居者共通のルールを順守する等、借りる側の態度変容」(54%)、「『住宅弱者』向けの国・自治体などの保障制度に関する知識、情報」(51%)が続いた。貸す側、借りる側が共に、互いの理解を深めることが重要であるという認識があり、保障制度の見直しや根本的な知識不足を感じていることが分かった。

 同調査は、8月6日~13日、「ライフルホームズ」に加盟する全国の不動産事業者(賃貸仲介・賃貸管理)を対象にインターネットで実施。有効回答数290名。

渋谷で啓発活動も

 ライフルは、「住宅弱者」の存在と課題を広く社会に周知するため、9月1日から東京・渋谷エリアで、住まい探しにおける根強い差別・偏見・矛盾について考えを問う屋外広告を掲出。更に「住宅弱者度チェックリスト」を制作し、身近な問題として理解が進むよう呼び掛けている。