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大言小語 東京五輪に黄色信号

 新型コロナウイルス感染症の広がりが、世界のヒト・モノ・カネの動きをぴたりと止めてしまったかのようだ。主要国では、外出自粛や消毒、手洗いなどの衛生管理が励行され、出入国も厳しく規制が敷かれるようになった。大幅な欠航に追い込まれた航空会社の経営支援も問題として浮上している。物流が滞り、小売店では欠品状態が続いているマスクに限らず、全般的に品薄の状態だ。金融市場でも、投資家の資金引き上げなどが株価の急落を招いている。

 ▼影響は経済・社会の隅々にまで広がりを見せている。東京商工会議所が急きょ、新型感染症の影響についてもたずねた中小企業の景況感に関する調査によると、東京の景況が急速に悪化していることが浮き彫りになった。新型感染症の「影響が生じている」の回答は22.5%、「長期化すると影響が出る懸念がある」は52.6%に上った。影響は全業種に及び、特に影響が高かったのは、受注・売上や客数の減少が顕在化している飲食関連のサービス業と卸売業で、五輪開催にも黄色信号が灯った状況だ。住宅・不動産業でも、物件引き渡しの遅れやテナントの業績不振などを心配する声が高まりつつある。

 ▼WHOからもパンデミックの言葉が発信された。世界同時緊急事態の様相を呈しているが、こうした時こそ冷静さを頼りにしたい。正確な情報に基づく状況判断と適切な行動が求められている。