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大言小語 土地の利用価値・新発見

 地価が上がるのはその土地の利用価値が高まるから。逆に空き家が増えるのは利用価値が減少する土地が増えているからだ。したがって人口減少が加速度的に進む日本は今後、空き家の数も加速度的に増加し続けると見られていた。

 ▼ところが18年住宅・土地統計調査では、空き家は846万戸となり、前回調査時(13年)と比べ26万戸の増加にとどまった。その前の5年間は63万戸、更にその前は98万戸だったから空き家の増加ペースは確実にダウンしている。

 ▼この要因は何だろうか。ひとつ考えられるのは15年に施行された空き家対策法。これを踏まえた自治体の空き家実態調査、空き家所有者の特定、管理不全の空き家に対する対応などが功を奏しつつあると思われる。

 ▼更に今後は18年4月に開設された国土交通省肝入りの「全国版空き家・空き地バンク」の活用にも期待がかかる。各自治体が運営している「空き家バンク」の情報を一元化したもので、その利便性は確実に高まっている。同省が選定した大手ポータルサイトの2社が運営しているが、全国ベースで移住先を検討している人たちの活用も増えている。

 ▼土地の利用価値を高めるためには、再開発や鉄道新駅の開設なども考えられるが、今後は国民がもっと自由に人生を設計し、様々な土地に興味を覚え、日本という国の魅力を再発見していくという流れにも期待がかかる。