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大言小語 見方を変えると

 先日、日本不動産学会の原科幸彦会長とイーソーコの大谷巌一会長の対談を取材した(10面参照)。原科会長は東工大出身。不動産学は、法律、経済、理工の3分野が密接に絡み合った学問で、学会創立前から社会工学の専門家として関わってきた。対談の中で面白いと思ったのが、原科氏の青島幸男元東京都知事への評価だった。

 ▼95年の阪神・淡路大震災を受け、成長優先の不動産開発ではいけないと不動産学会初代会長の石原舜介氏が主張。その思想を背景に、青島知事の時代に、計画段階で土地利用の適正評価も行う戦略的環境アセスメントが導入されるはずだったという。しかし、石原慎太郎知事が大きく方向転換し、土地利用規制を大幅に緩和、開発が急増されたと。もし、青島知事のままだったら、環境に配慮した素晴らしい開発が行われていたのではと残念がった。

 ▼政治家としての青島氏は、参議院議員時代の舌鋒の鋭さには見るものがあったが、都知事としては芳しくなかった。しかし、見方を変えたり、違う点にフォーカスすると、評価がガラリと変わる。

 ▼また、「三方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)という近江商人の哲学は、現代にも使え、CSRの元祖だと氏は言う。実は、日本には100年以上続いている企業が3万社もあり、世界に類を見ないそうだ。それは、この三方よしを実践してるからではないか。日本企業の良さも見直したい。