政策

社説 サブリース問題が深刻化 「賃貸住宅管理業法」制定急げ

 賃貸住宅管理業界で今や一般化しつつある「サブリース契約」だが、同契約に対するオーナー側の認識の甘さを危ぶむ声は従来からあった。

 そうした中、今回発生した「かぼちゃの馬車」事件は、まさにシェアハウスを投資家に販売する際の〝甘言〟として利用された印象が極めて濃く、サブリースが悪用された場合の弊害はここに極まった感がある。これ以上の投資家(オーナー)被害を防止する意味でも、サブリース事業を含め、一般賃貸住宅管理業に対する規制はもはや避けがたい状況になったと言えるだろう。

 さて、かねてより賃貸住宅管理業務の適正化を図る「賃貸住宅管理業法」の制定が議論されてきた。その前段階として一定の要件を備えた管理業者を選定する「賃貸住宅管理業者登録制度」が国交省によって運営されていることは周知の通りである。

 「賃貸住宅管理業法」はこの登録制度を土台とすることが想定されているが、同登録制度が施行されてから既に6年半が経過し業界側の対応も整いつつある。今こそ法制化を決断すべき時である。

 管理業法制定の狙いはトラブル防止などネガティブな面にとどまるものではない。むしろ、国民のライフスタイルの変化や世帯構造の多様化を踏まえた良質な賃貸住宅の供給に資することこそ、今後の管理業界の重要な社会的使命である。しかるに、我が国の賃貸住宅市場は依然として分譲マンションなど持ち家を取得するまでの〝仮住まい〟的な位置付けにあり、不動産業界にもそれを是とする空気が根強い。

 日本の世帯構造が今後小家族化していくことを踏まえれば、賃貸住宅の質向上は「広さ」ではなく、むしろ〝管理〟の良質化である。その重要な責務を担うのは管理業者登録制度に位置付けられている「賃貸不動産経営管理士」であり、法制化が実現すればその社会的責務は一段と注目されることになるだろう。

 本紙が「かぼちゃの馬車」事件を1面で3回連載するなど重く見た理由は、シェアハウスもまた今後の日本社会を支える重要な住宅インフラになると考えるからである。

 昨年施行された「新住宅セーフティネット法」で国交省がシェアハウスを特別に「共同居住型住宅」として位置付けたことでもそれは明らかだ。

 今回の事件がシェアハウスの普及拡大に悪影響を及ぼさないことを切に願う。サブリース事業はそれ自体が問題なのではなく、それを活用する事業者の姿勢と資質が問われている。その意味では、制定されるべき賃貸住宅管理業法でサブリースを行う事業者には特に厳しい規制を掛けることもやむを得ないと考える。