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大言小語 垣根を越えて

 先日開催された全国賃貸管理ビジネス協会主催のシンポジウムの講演で、東京大学大学院の柳川範之教授は、「オフィスビルはいつまで必要なのか?」と提起し、「コワーキングや在宅勤務が浸透すれば、ビルやマンションの役割が変化していく。住まいとオフィスの境目がなくなるのではないか」と、不動産の未来を分析した。

 ▼6月15日に住宅宿泊事業法が施行される。インバウンド(訪日外国人)の需要を取り込もうと、住宅宿泊事業者や住宅宿泊管理業者などの届出や登録が既に始まっている。日本の〝日常〟を感じられる宿泊施設となる民泊。これも、ホテルや旅館と住まいの間にある垣根を超えた、新しいスタイルであることは間違いない。

 ▼そういえば、今は無いが、我が実家は団地だった。狭い部屋に父親の仕事書類が山積みで、大きな体躯の男兄弟と両親の4人住まいに当然、子供部屋などはなく、間取りを超越していた。リビングで子供が勉強すると効率がいいとの話があるが、皮肉にも我が家はその走りだったのかもしれない。

 ▼不動産テックやフィン(金融)テックなどの普及により、不動産業界の中にはICTやAI(人工知能)、シェアリングエコノミーなどの新たな事業者が続々と参入している。これも業界の垣根を越えた動きだろう。いずれは、「不動産業」という呼称がなくなるかもしれない。