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大言小語 同調主義とさよなら

 先日、東京・日野市がオープンした産業連携センター「PlanT」を取材した際、いつものようにいただいた資料を日野市のA4判の公用封筒に入れて、持ち帰った。それから何日か経った後、日野市の封筒がニュースを騒がせたことを知ることになった。封筒に記載された「日本国憲法の理念を守ろう」という文言が黒マジックで消されたという一件だ。

 ▼ここでは、思想云々については置いておく。驚いたのは、市側の釈明の「現在は新しい封筒になっているので、それに合わせて、今は記載されていない文言を消したもの」という点だ。つまり、今使用している封筒には、その文言はないので同一性を保つために消したということ。全く何も考えないでとしたら、それは怖い。

 ▼こうした同調主義が今の日本でははびこっていないだろうか。「何を言っても、変化など起きない。なら、何も考えず、流れに乗ったほうが得だ」。下手に考えるとおかしいぞと思うので、考えない。同調するため、違いを修正し、時には消してしまう。そう言えば、日本の住宅も個性を感じるものは少ない。マンションの間取りも同じようなものが多い。ルース・ベネディクトの『菊と刀』での主張からすれば、日本人が生来持つ「恥」を極端に嫌う気質によるのだろうか。日本人が国際社会において名誉ある地位を占めたいのであれば、変わる時は来ている。