総合

大言小語 森林も高齢化

 国産材を使った木の家をもっと増やそうと「木のいえ一番振興協会」が本格的活動を始めた(記事8面参照)

 ▼日本は国土面積の67%が森に覆われた世界有数の森林国。なのに国産材はほとんど使われていない。東京都市大学の大橋好光教授は「日本の森林は十分に成長した木であふれかえっている。伐採されないから、新たに植林するスペースがない。このままでは木の高齢化が進む一方だ。今は江戸時代以降、最も木の蓄積がある」と語る。

 ▼成長戦略が今ほど叫ばれている時代はないのに、なぜ国産材をふんだんに使った住宅の供給促進に政府は邁進しないのか。潜在成長性は極めて高いのにもったいない話である。公共建築物での木材利用を促進する法律はできているのだから、そこに住宅を加えても何の問題もないのではないか。しかも世論調査によれば、日本の国民の約8割が木造住宅に住みたがっている。

 ▼世の中には、極めて当たり前のことがなぜか通らないということがままある。定期借家権住宅が一向に普及しないのも、その類である。戦時中の昭和16年に正当事由制度が導入されてから普通借家権が始まったわけで、その前は定期借家権しかなかった。弁護士の吉田修平氏は言う。「普通借家権は普通ではなく、定期借家権こそ普通の賃貸借契約である」。正当事由制度に守られ、借りたものなのに事実上返さなくてもいいのだから、異常である。