政策

大言小語 環境と不動産

 環境不動産という概念が不動産市場で成立するのかその先行きが注目されている。不動産分野で環境意識が芽生え始めた当初、マンションや戸建ての市場では、環境共生住宅なる言葉で商品企画が表現されていたと記憶している。当時より研究、技術もかなり進歩した最近はスマートハウスやスマートシティ、サステナブル不動産といった呼び方も一般化し、徐々に社会に浸透し始めている。名前は様々だが、いずれも永続的に環境対応を志向する不動産を目指す方向性は概ね一致している。

 ▼今後の普及の焦点は、既存不動産における普及のカギを握る「環境不動産に経済合理性があるか」という点だ。省エネ、創エネといった環境仕様が所有者や利用者に利益をもたらしてくれることが分かりやすい戸建て、マンションは、当然ながら普及の速度が早い。一方、事業用不動産や賃貸不動産などは環境仕様の恩恵が必ずしも利用者や需要者にダイレクトに還元されない不透明な部分も一部残っており、ここが普及を鈍らせているのではないかとの指摘がある。

 ▼いずれにしてもCO2排出量の3分の2を占める不動産の環境対応は、世界的にも時代の要請だ。原発事故もあり長期間エネルギー問題と向き合わざるを得ない日本にとって、優先度合いが他国より高いことは明らかだ。環境不動産を市場に根付かせる強い意思で臨むことに尽きる。