政策

大言小語 チラシ類投函禁止です

 マンションやアパート、戸建てを問わず、各住戸に営業チラシなどを配布するポスティングは不動産流通会社の営業、特に売却物件の開拓には欠かせない手法である。新聞購読世帯が減少しているため、折り込みチラシは以前ほどの効力がなくなった分、需要者に直接届ける手法として見直されているのだ。チラシの内容は「求む物件」「無料査定」を中心に、「販売物件」「成約御礼」がほとんどだが、中にはポスティング要員募集をうたったものまである。

 ▼ある流通会社幹部によると、「ポスティングは広告宣伝費の多くを占めるが、その分効果も高い」。繰り返し直接訴えかけることが原始的ではあるが、需要者の心に響き、需要の掘り起こしにつながる。配布分量と反響数は正比例するともいう。裏付けるように流通大手から中堅、地元企業まで、投げ込まれるチラシの量は増え続け、内容も物語風など凝ったものまである。

 ▼8月下旬、都内のあるマンションに「パンフレット・チラシ等、投函禁止です。管理組合」という看板が立てられた。チラシ類は不動産だけでなく、ピザやすしの宅配から学習塾、美容院などまで多様だが、そのエスカレートぶりに住民が抵抗を示したのだ。看板効果はどれくらい続くのか不明だが、無視してはクレームが付く。様子をうかがいながら、「次なる手立てを考えるのが営業の極意」と。不動産の営業も懐が深くなってきたようだ。