総合

内なる変革を

 「今年は激動の年になる」という見方が多い。その理由の一つが、世界の主要国でリーダー交代の可能性があるというものだ。だが、国のトップが交代するとなぜ激動なのか。5年間に6人も首相が代わったのに、あまり代わり映えがしない国の民がひがみを言うわけではない。選挙がある年はその国の政治は内向きとなり、対外政策が大きく変更される可能性は低い。仮にトップが交代しても前政権の意向が踏襲されることもしばしばだ。特にロシアや中国はその可能性が強い。

 ▼日本は昨年が、まさに激動の1年だった。今年は多少の落ち着きを取り戻すことになるだろうが、課題は山積だ。被災地の復興促進、原発政策のゆくえ、消費税率引き上げ、円高対策、TPP参加問題など。しかし、もし総選挙が行われるようなことになれば、今年も政局に明け暮れる1年となり、日本はますますグローバル化への対応に遅れをとる。

 ▼不動産市場は今年、大きな節目を迎える。団塊世代のトップランナー(1947年生まれ)が65歳となり、本格的リタイア世代となる。自由な時間と経済力を持つ700万人以上もの人たちが今後3年間に登場し、新たな市場を形成するだろう。発想を変えれば大きなビジネスチャンスが潜む。

 ▼『激動』を求める心の隅には、自らは変わらずに利を得たいというずるさが隠れていないか。変革は己の内にこそ見出すものだ。