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武士は食わねど

 民主党が宅地建物取引主任者の名称を『宅地建物取引士』に改める活動を始めた。大いに賛成である。『者』と『士』では国民の信頼感が違う。それに、マンション管理の専門家が管理士の名称を与えられているのに、マンション分譲や仲介の仕事に関わる資格が『者』ではバランスが取れない。

 ▼この際、名称変更だけでなく、主任者制度の抜本的改正を行ったらどうか。『士』に準ずる『士補』制度も同時に作って、取引士または取引士補の資格がなければ、何人も不動産営業ができないようにする。そのかわり、『補』になるための試験は、取引士試験とは別に設けて、設問を宅建業法の基礎知識と倫理に絞るなどして易しくし、年4回程度実施する。

 ▼今後は中古住宅の流通促進が重要だが、そのためには個人間取引の安全を担う仲介会社の営業マン一人ひとりが社会から高い信頼を得ていることが大前提となる。そして、一度でも倫理や業法違反をした者からは資格をはく奪する厳しさが必要だろう。そうすれば、就労期間の長さが営業マンのキャリアになり、励みにもなる。

 ▼さて、「士(さむらい)資格を取っても、メシが食えない時代になった」とは最近よく耳にする話である。しかし、「武士は食わねど高楊枝」。そもそも『士』とは自分の仕事に、カネではなく誇りを求める人たちがなるべきものである。