年金不安・相続税改正に対応 資産として再発見! マイホーム活用術

資産として再発見!マイホーム活用術(11)Q10.マイホームを売却する場合の譲渡税

・今住んでいる自宅を売却すると税のメリットがある
・引越しから3年の年末までに売っても税のメリットがある
・自宅を取り壊した場合には1年以内に売買契約が必要
・売るまでに間を空けると税制自体が改正されることも

税制上のメリット

現在お住まいのマイホームを売却する場合には、税務上、主に以下のような各種の特例が適用できます。

強制
●分離課税の長期譲渡所得の税率
●分離課税の短期譲渡所得の税率

確定申告で自ら適用
●居住用財産の譲渡所得の特別控除(3,000万円特別控除)
●10年超保有の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率
●10年超保有の特定居住用財産の買換え(交換)の特例

「居住用」に該当するかどうかの注意点

「居住用」の特例は、「居住用」の不動産を売ることが前提になっている税務上の特例です。したがって、売却する不動産が「居住用」の条件を満たさないと、こうした特例の適用を受けることができなくなります。

「居住用」となるのは、原則的には①現に住んでいる住宅と敷地です。

もっとも②住まなくなった場合には、3年目の年末までに売却すれば「居住用」と扱われるほか、③自宅を取り壊した場合には、取り壊し後1年以内に契約すれば敷地は「居住用」と認められます。取り壊し後の更地については、別途他に貸したりしないことが前提です。

ただし、この特例を受けるためだけに入居したような場合や、別荘のような保養目的の利用では「居住用」として特例の適用が認められません。

また、マイホームの売却が親子、夫婦、同族会社など特別な間柄にある者に対するものである場合には、適用が認められません。
自宅を売却する場合には、特に住まなくなってから「3 年目の年末」が大きな区切りになるので、注意が必要です。

なお、売り時を見計らっている間に税制自体が改正されてしまう可能性もあります。また地価などの資産価値の変動動向にも注意を払う必要があります。

次の生活設計があり、資金の用途が決まっている場合には、現時点で売却することによって得られる資金の範囲で具体的に計画を実現することができます。未来の不確定要素を排除し計画実現を第一に考えるなら、自宅の売却は早い方が良いでしょう。

税理士 本郷 尚 (ほんごう たかし) http://www.tactnet.com/

税理士法人タクトコンサルティング 代表社員
株式会社タクトコンサルティング  会長

昭和48年 税理士登録
昭和50年 本郷会計事務所開業
昭和58年 株式会社タクトコンサルティング設立
平成15年 税理士法人タクトコンサルティング設立
平成24年  株式会社タクトコンサルティング 代表取締役を退任し、会長に就任

不動産活用・相続・贈与・譲渡など資産税に特化したコンサルティングを展開。
資産税を軸足とした税理士として、執筆、講演に注力。


【主な著書】
「継ぐ」より「分ける」相続―45歳を過ぎたら“相続適齢期”(タクトコンサルティング)
心をつかめ!コンサルタント(住宅新報社)
ほんもののコンサルタントになる本―プロは勝ちより価値にこだわる (能力開発シリーズ)(住宅新報社)
がんばれ大家さん!(タクトコンサルティング)
生前相続―発想を変えれば人生が変わる(文芸社)
女の相続―Six stories(文芸社)
改訂とっておきの相続(タクトコンサルティング)
不動産M&A入門 (図解不動産業)(住宅新報社)