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大言小語 〝地域の足〟

 ▼先日、全国不動産会議(全日本不動産協会主催)が栃木県宇都宮市で開催された。東京から新幹線で約50分。宇都宮といえば、「餃子の街」のイメージにとどまらず、スマートシティ構想の先進地としても注目を集める。

 ▼その基軸を担うのが今年8月に運行開始した宇都宮ライトレール(LRT)。宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地の14.6キロを結ぶ次世代型路面電車システムで、人口減少時代の重要な〝地域の足〟だ。佐藤栄一宇都宮市長は、全国不動産会議で「ネットワーク型コンパクトシティを基盤とし、地域共生、地域経済循環、脱炭素の3つの構成要素を融合し、人とデジタルの力で回す」と説明。LRTを市内交通の軸とし、バスが補完することでマイカーに依存しない社会を目指すとした。

 ▼〝地域の足〟の議論は近年ホットな話題だ。利用者が減少した公共交通をどのように維持し、再構築していくか。まちづくりという性質から賛否が分かれるのは常だが、同市でもこれまで相当の議論があったようだ。

 ▼LRTが走る宇都宮駅東口では人口増加や地価上昇の報告もあるというが、持続的な都市の成長に向けた取り組みはこれからが正念場。佐藤市長は、「まちづくりのパートナーは不動産業だ」とも述べた。土地、建物の流通によって地域経済の循環につながる。持続可能性の鍵を握るのが、地域に通じる不動産会社であり、その実践だという。