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大言小語 菜の花と幸福

 昨年11月に種を植えた菜の花が満開の花を咲かせている。すくすくと伸びて、背丈はもう50センチ近くにもなった。種から育てた効果だろう。園芸店で買ってきた鉢植えではこうはいかない。鉢植えの土とでは〝質〟が違うからだ。

 ▼質と言えば不動産業界では管理の質や仲介の質が問われ始めた。日本賃貸住宅管理協会は昨年、会員が目指すべき具体的な管理業務を85項目に分類した『セルフチェックブック』を配布し、各社が自己診断しつつ、管理の質を上げていけるようにした。また、仲介市場では個人が自宅を売買するときに不動産会社ではなく、担当する宅地建物取引士をその人柄や得意分野から直接選ぶことができるエージェント制が注目されている。いずれもプロとしての〝仕事の質〟が問われ始めたということだろう。

 ▼一方で、IT化・DX化が進む。こちらは生産性向上が目的となるため、AIが業務をできる限り効率化する。これもサービスの〝質向上〟とすると、不動産業界は今、人間の質(誠意)と、機械の質(性能)という2つの方向から業務の質の向上を追求し始めたことになる。

 ▼人間である消費者が最終的に求め、感謝の気持ちを持つのはどちらの質の向上だろうか。そもそも、質とは何だろうか。黄色い菜の花を見ると幸福な気持ちになるように、質というのは、人の心に絡む何かではないか。