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名古屋や大阪への調達体制も構築 木分協・菊谷憲太郎氏に聞く 設立2年目、会員数などの目標達成

 三栄建築設計、ケイアイスター不動産、オープンハウスグループの3社が21年4月に国産材の利用を通じて日本の森林問題・環境問題の解決を目指し、日本木造分譲住宅協会(小池信三理事長=三栄建築設計社長)を設立し、2年目も半ばを迎えようとしている。目標に対する進ちょくや協会活動を通じ、改めて見えた課題、今後の取り組みなどを同協会事務局の菊谷憲太郎氏(写真)に聞いた。(聞き手・小澤美菜子)

 ――間もなく設立から2年目も半ばを迎えるが、会員数の推移や、反響の大きさは。

 「設立会社のグループ会社を除き、最初の1年間でまずは30社の入会を目指していたが、8月時点で34社が入会しており、おおむね達成したと言える。ただし、実際にはもっと多くの問い合わせがあり、協会がカバーできていない九州エリアの事業者からの問い合わせも多かった」

 ――九州で木材調達ができていない要因は。

 「木材は他の商品に比べ、大きさの割に単価が安いため、輸送コストが割高になる。現在は、名古屋や大阪へ調達する体制の整備がようやくできてきたところ。九州の場合もできなくはないが、今のところ割高になり、現実的ではないのが現状だ。ただし、調達元の開拓は継続しており、今後はより調達しやすくなるだろう」

 ――会員会社の国産材の採用はどの程度進んでいるか。

 「三栄建築設計は協会設立前の21年2月、国産材の使用割合が97.4%の分譲住宅を開発し、使用率100%を目指して切り替えを進めている。また、ケイアイスター不動産傘下のカーザロボティクスが展開する規格型の平屋商品『IKI』は、すべて国産材を採用。オープンハウスグループも、国産材の使用割合を大幅に上げている。調達の体制が整った21年6月以降、月当たりの国産材の取り扱い量は著しく増加しており、21年度の平均は2000m3程度だったが、22年6月には単月で4000m3を超えた」

 ――植林活動については。

 「使った分は山に返そうという取り組みで、秋田では1万3500本を既に植え、青森県では今秋1万5000本の植林を控えている。設立からの1年間で使った国産材は2万4000本相当なので、1年目はしっかりミッションをクリアしたといえるだろう。こうした取り組みは、継続的に実施する方針だ」

供給量の増大が課題

生産能力以外の壁も

 ――設立後の活動を経て、改めて見えてきた課題は。

 「協会としては、もっと多くの国産材を使いたいが、需要を増やそうとするだけでは供給量を急激には増やせない。また山の木のうち、建材になるものは一部で、ほかにも多くの使い道がある。国は国産材の活用を推進しているが、我々が住宅で多く採用するだけではなく、ほかの分野でも機運が高まらなければ、国産材の供給増加は進まない。協会としてどのように関わっていくかが、今後の大きな課題だ」

 ――国の推進するCLT材関連の業界団体など、他団体との連携は今後あり得るか。

 「協会としては〝やらない〟と決めていることは何もない。住宅に関わる会社で、双方にとってメリットがあり、シナジーを創出できるようであれば、どのような方策も前向きに検討したい」

木材生産へのコミットや

トレーサビリティ確立を

 ――今後の取り組みは。

 「まず、協会として林業をもっと知らなければならない。小規模であっても素材生産、伐採業にも携わっていきたいと、現在模索しているところだ。また協会とは別の形になるかもしれないが、将来的には工場を持ちたい。更に、時間がかかるかもしれないが、木材におけるトレーサビリティ(追跡可能性=物品の流通経路を生産から最終消費などの段階まで追跡可能な状態)を更に〝見える化〟できないかと思っている」

 ――生産情報などは追跡できないのか。

 「国内でも小規模で実施している事業者はあるが、現在の方法では、何百棟分といった規模での実施は現実的ではないとのことだった。現在、全国規模でトレーサビリティを確立している木材の供給システムは国内にはまだない。木材にもそういったシステムを導入できれば、どこの誰が伐採した木か、違法木材かどうかをしっかりと確認できる。既に取り組んでいる事業者等と連携しながら、協会が主体となってそうした仕組みを構築し、将来的にトレーサビリティの確立を図りたい」

 ――生産や流通に関する情報の明確化のメリットは。

 「メリットというより、最低限の責任として本来やらなければならないこと。実施によって何かが大きく変わるということではなく、見逃されてきた責任を果たすべき。そうした取り組みを今まで行っていた事業者の労力を、軽減できるようにしていきたい」