売買仲介

FRK 竹村信昭理事長が会見 建物評価マンション急務 仲介、腰折れ懸念は低い

 不動産流通経営協会(FRK)は5月26日、新理事長の竹村信昭氏(写真)が就任会見に応じた。2年以上に及ぶ新型コロナウイルス禍の社会経済を踏まえて対応する。いっそう厚みのある市場に向けて取り組んでいく姿勢を見せた。竹村理事長は、「コロナ当初は数カ月で終わると思っていた感染対応が長引き、これまで住宅市場で目立たなかったニーズが浮き彫りとなった。広さや間取り、住む場所の選定などニーズの多様化がくっきりと浮かび上がり、コロナ禍でも取引量が増えている」と述べた。

 5月18日に改正宅建業法を受けて不動産取引の完全デジタル化が解禁されたことにも触れ、不動産DXが本格化するとの認識を示すと同時に、「仲介事業は顧客とのコミュニケーションが欠かせない。基本は客と会うのが仕事だ」と話した。新型コロナ禍で顕在化した住宅ニーズとDX対応を取り込んで「FRK提言2020」を着実に前に進めるとの意気込みを見せた。

 建物の評価制度の再編・統一化に向けて注力する。

 特にマンションの管理状況を仲介各社が把握することの難しさも指摘し、竹村理事長は、「デュアル評価。つまり2つの視点がある。これまでの建物評価は、戸建て住宅に偏っており、マンションに当てはまらない部分が少なくない。マンションにピントを合わせた使いやすい評価システムが必要だ」と話した。

 「売主と買主の双方に還元できないかという着想で進める」として、昨年の基礎調査を踏まえて今年度は現場の視点で方向性をまとめる。

 インスペクション(建物状況調査)は、特にマンション共用部分の検査で管理組合との同意が必要な点を踏まえて、「インスペクションは23年に見直しの時期を迎える」ことを機に建物全体の見える化、共用部検査のしやすさにつなげたいとした。

 マンションの重要事項説明は戸建て住宅より簡素化していきたいとの認識も示した。

 今後の仲介市場見通しについては、ロシア・ウクライナ情勢に端を発した世界経済の落ち込みが懸念材料ではあるものの、「足元は厳しい局面にはない。コロナ禍で多様な買いニーズが顕在化している」といい、リーマン・ショック級の衝撃がない限り、旺盛な取引ニーズが腰折れする可能性は低いとみる。