三菱地所、デロイトトーマツグループなどは、東京・丸の内において、〝空飛ぶクルマ〟(eVTOL)の一般向けVR体験の実証実験を行った。〝空飛ぶクルマ〟に対して、三菱地所は「目前に迫った未来。まちのインフラを変えていく交通インフラになる」(佐野洋志オープンイノベーション室長)と、ディベロッパーが〝空飛ぶクルマ〟に関わる意義を述べた。今回の実証実験での結果を踏まえ、〝空飛ぶクルマ〟への一般の理解といった社会受容性やポートの場所などの課題を検討する。
〝空飛ぶクルマ〟は、電動、パイロットなしでの自立飛行、垂直離着陸という3つの特性を持つ次世代モビリティ。実証実験は2月28日と3月1日の2日間にわたり、東京・大手町の「3×3Lab Future」で行われた。参加者は事前に募集した周辺企業などに勤務する一般モニター36人。体験車両は、市販の電気自動車を改造したもので、VRゴーグルを付けて車内に乗り込むと、体験車両が前後に動き風が吹きつけ、実際に飛んでいるような感覚を得ることができる。
〝空飛ぶクルマ〟の一つの可能性として地方交通での活用を想定。実証実験では、地方空港到着後から宿泊予定先ホテル到着までの一連の移動をVRで体験する。25年の大阪万博を皮切りに、地方での人の移動から事業を拡大する計画を国が立てている。
御殿場のアウトレットでヘリ使いノウハウ蓄積
三菱地所は、〝空飛ぶクルマ〟の離発着場設置・運営に向けたノウハウの蓄積を図るため、「御殿場プレミアム・アウトレット」(静岡県御殿場市、三菱地所・サイモン所有運営)にヘリポートを設置。周辺観光スポットを遊覧するヘリコプタークルージングサービスを1月29日から開始した。当面は、ヘリコプターを使用したサービス提供を重ね、ニーズの有無を検証。今回の実証実験を踏まえ、ポートを造るときに必要な設備など実用化に向けたサービス設計を検討する。
一般モニターとして実証実験に参加した会社員は、「アラジンの魔法のじゅうたんより堅くて乗りやすいのかな」と印象を述べた。乗った後の感想としては「思ったよりも快適だった」と言う。