決算

好不調の併存継続、上方修正も 準大手・中堅デベ第3四半期決算

 準大手・中堅ディベロッパーの22年3月期第3四半期決算が出そろった。基本的な傾向は半期決算の段階と同様、上向きの状況が継続している様子が見られたものの、分譲マンション事業の好調と比べ宿泊・商業・海外事業などは低迷を脱しておらず、個別企業の業績は〝まだら模様〟の様相が色濃い。

 長谷工コーポレーションは分譲マンション事業の販売・引き渡しが順調に進み、建設事業や修繕工事も好調で増収増益。サンフロンティア不動産も主力のリプランニング事業が大幅に実績を伸ばしたほか、FJネクストホールディングスやエスリードはマンション関連事業の好調を背景に二桁の増収増益となった。

 更に、ビル事業における販売用不動産の売却収入を大幅に増やした平和不動産、好立地の取得を背景に新築分譲マンション供給を伸ばしたゴールドクレストは通期予想を上方修正。京阪神ビルディングは保有株式の売却による特別利益を計上したため、当期純利益を上方修正している。

 他方、苦戦の続く企業も散見される。コスモスイニシアは増収ながら、宿泊事業のマイナスが響き純損失を計上。日神グループホールディングスは、物件の引き渡しが第4四半期に集中した影響もあり、第2四半期から売上高・利益共に前年同期比のマイナス幅が拡大している。同様の要因で明和地所も大幅減益。サンウッドは不動産開発事業における物件引き渡しが集中した前年同期の反動により、大幅な減収減益になったとしている。

マンションと宿泊回復鍵に

 そのほか全体的に見ると、おおむね前年同期比で増収増益となっている企業の割合が比較的高い。マイナスとなっている企業も、主にマンション関連事業における開発・販売物件の計上時期の偏りによるものとするケースが多く、通期予想を下方修正する事例は見られなかった。

 なお、通期決算および来期の見通しも、マンション関連事業の順調な推移と宿泊事業等の回復が鍵を握ると考えられる。

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