マンション・開発・経営

ヒューリック次期中計、今年度中に公表 開発・建替事業、年12件ペースに 都心型データセンター事業参入

 ヒューリックは、22年度(1月~12月)中に、23~25年度を計画期間とする次期中期経営計画をとりまとめる。中計とりまとめは、次期社長である前田隆也副社長が行う。開発事業を中心に投資を行う方針だ。前田副社長は、29年度に経常利益1800億円を目標とする長期計画を達成するための道筋として、今年度は開発・建替事業を更に進展。これに加え、新たに都心型データセンター運営事業にも参画する。

 都市型データセンター事業は、東京メトロから東京都江東区の「塩浜二丁目開発用地」土地活用のプロポーザルに設定された同社が実施する。データ通信の相互接続点が集積する大手町や豊洲エリアから近く、浸水リスクが小さい立地特性を生かす。都市型データセンターは、25年竣工の案件をはじめ、3物件の開発が進行中で、このほか東京都中央区、江東区の案件がある。今後の増加ペースについて、「相互接続点の周辺で土地を探すことになる。(都心部においては)それなりの広さが必要であり未定」(前田副社長)としている。

 同社は都市型データセンター事業の推進に当たっては、東京電力パワーグリッドと関電工との連携を検討している。

 開発・建替事業については、29年までに100件超の物件を手掛けることを目標としている。現在、68物件が確定・内定。23年は11物件の竣工が決まっており、毎年12物件程度の竣工で目標を達成する方針だ。競争優位がある賃貸ポートフォリオへ再構築することを目的に、都心好立地、高耐震・高性能、環境配慮、バランスが取れた用途構成を掲げており、アセットタイプ別では、21年度にはオフィスが60%(前年度比5%減)、ホテル旅館が14%(同2%増)、商業施設が19%(同4%増)となっている。オフィスのうち、みずほ銀行の店舗は11%(同5%減)となっている。

 5つの基本戦略は、(1)ビジネスモデルの進化と賃貸ポートフォリオ再構築、(2)開発事業およびバリューアッド事業の強じん化、(3)独自性のある新規事業領域の創造とグループ力の向上、(4)経営基盤の強化とリスク管理の徹底、(5)社会と企業の共創・共生を図るサステナビリティを重視したマネジメントの実践――で構成。22年度は、現在の中計の最終年度になることから、基本戦略を着実に実行し、上方修正した経常利益目標1150億円を達成することが大きな目標の一つとなっている。

 (5)に関連する環境への取り組みでは、CO2排出量ネットゼロ化を30年目標に前倒し。再エネ発電設備を17件稼働した。同社の環境への取り組みは、非固定価格買取制度、自社での発電設備所有が大きな特徴となっている。

21年度決算は増収増益に

 21年度の連結業績は、増収増益で着地した。吉留学社長は、「ホテルや旅館が苦戦したものの、中計の5つの基本戦略が順調に進み、利益計画もコロナのマイナス影響を跳ね返す高いパフォーマンスを実現することができた」と総括した。

 営業利益、経常利益、当期純利益は過去最高を更新。経常利益は22年度達成目標だった1100億円を21年度でほぼ達成したことから、22年度計画を50億円上乗せすることとした。

 CRE事業による物件取得に関しては、「NEC相模原事業所」(底地)を取得してNECへのセールアンドリースバックや、「リクルート銀座8丁目ビル」「LICOPA鶴見(旧イトーヨーカドー鶴見店)」などを取得。「LICOPA鶴見」は、総合スーパーの大規模バリューアッド案件として、食料品から物販、飲食、クリニックなど33店舗が入居する物件として21年9月に改修した。この結果、コロナの影響を補正した来店者数は30%増加した。今後、「LICOPA」シリーズとして展開する計画だ。

ヒューリック

決 算 21年12月

売上高 4,470億円 (31.6%)

営業利益 1,145億円 (13.8%)

経常利益 1,095億円 (14.5%)

当期利益 695億円 (9.3%)

予 想 22年12月

売上高 --億円 (--%)

営業利益 1,230億円 (--%)

経常利益 1,150億円 (--%)

当期利益 750億円 (--%)