総合

大言小語 コロナで人生見つめ直す

 今年も12月に突入し、年の瀬に入った。昨年からの新型コロナ感染は、10月以降から小康状態を保ち社会経済の正常化に踏み出すかと思ったら新たな変異株「オミクロン株」の登場で再び緊張感が高まっている。帰省や旅行など人が動く年末年始を目前に控えているだけに政府も水際対策に素早く動き、海外からの入国を禁止にしたが、既に国内で感染者が出ている  ▼この2年余りで世間の風景は一変した。街を歩けばほぼ皆がマスクを着けており、飲食店の入り口には消毒液、感染防止用としてどこまで効果があるのか分からないアクリル板で席を仕切る店は珍しくない。居酒屋の主人は、「コロナ前に比べてお客の滞在時間が短くなっている」と言う。コロナ前の社会経済の姿に戻りそうにない。

 ▼訪日観光客の姿が消えて久しいが、我々の〝海外旅行の自由化〟もいつのことやら。更新して真新しいパスポートに出入国のスタンプが押される日は遠そうだ。かつて不動産市場をにぎわしたクロスボーダー取引の不動産プレーヤーは自由に国境をまたげない不自由さを嘆く。

 ▼30代の台湾人女性は、「国にはもう2年以上は帰れていない」と話す。この間に勤務していた不動産仲介会社を退職し、専門商社を立ち上げて台湾製モーターなどを日本企業に売り込む精密機器の仲介業に転じた。本格軌道に乗るまでは保険の仕事を掛け持つ。コロナ禍で人生を見つめ直した人は多そうだ。