政策

国交省 「不動産ID」整備で検討会 17桁の番号使用で統一 登記システム連携も視野に

 国土交通省は11月10日、「不動産ID」のルール整備に関する第2回検討会を対面・ウェブ会議併用形式で開催した。13桁の不動産番号に4桁の特定コードを加えた17桁の番号を不動産IDとして使用する方向でおおむね一致。今後はIDを入力する側、利用する側の視点を踏まえ、更なる整備を進める。利用拡大に向け、法務省の登記システムとの連携なども検討していく。

 同検討会は、不動産共通コードのルール整備を行い、不動産関連情報の連携・蓄積・活用の促進を図るためのもの。冒頭、同省の長橋和久不動産・建設経済局長は「今後の不動産市場にとって大きな第一歩となる」と述べ、活発な議論を呼び掛けた。

 第2回検討会では、不動産の類型にかかわらず、不動産番号(13桁)に特定コード(4桁)を加えた17桁の番号でそろえる方向性が示された。具体的には、土地、建物(戸建て)の場合、どちらも登記記録・不動産番号が存在するためこれらを使用する。特定コード4桁は、不動産番号だけでは不動産を特定できない場合に付すこととし、それ以外は「0000」を入力する。また、特定コードを要する不動産は、「商業用建物の各フロア」と「非区分所有のうち居住用建物の各部屋」とした。他方、区分所有建物の建物全体は、対応する不動産番号が存在しないため、その建物が建つ土地の不動産番号13桁をIDとして使用し、更に特定コードに「建物」であることを表す符号を付すこととした。

 事務局では、委員からおおむね同意を得たとした上で、「不動産会社などのIDを入力する側、ポータルサイトや地図会社など利用する側の視点がある」と今後の検討課題を指摘。利用する側から「特定コードは4桁で足りるか」「用途ごとに分類するためのIDを頭に付けてはどうか」など一部意見が挙がった点に触れ、「入力する側の視点では桁数を増やさずに手間をいかに軽減できるかは重要。今後も整理していく」(事務局)とした。同検討会では、事務局から不動産IDの利用拡大に向けた方策について提案も行われた。具体的には今後のルール整備を進める中でのIDを活用した情報の段階的な紐付けと、「物件情報の名寄せ・紐付けの容易化」「不動産情報サイトにおけるおとり物件の排除」などのユースケース・メリットだ。

 特に不動産事業者からは行政保有情報とIDが紐付いた場合の情報照会や情報収集にかかる負担軽減への期待が大きく、事務局では「3D都市モデル『プラトー』を進める都市局や、登記システムを持つ法務省もオブザーバーに加わっている。必要な連携を検討していきたい」との姿勢を示した。

「表示」は引き続き議論に

 なお、不動産IDの表示については、今後も焦点の一つとなりそうだ。

 例えば、ポータルサイトの場合、募集時に物件情報と併せて不動産IDを登録するが、当面、一般ユーザーに対してはID自体を表示しないことも検討案の一つ。他方、レインズなど事業者間の情報提供では、ID表示による物件の特定が円滑な取引につながる利点も考慮する必要がある。つまり、不動産IDの登録と、広告等の場面における表示のあり方は別途の問題として捉え、場面ごとの検討が求められる。

 今後も数回検討会を実施し、今年度内にガイドラインを発表する。22年度から順次運用していく見込みだ。