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平和不ほか・「KABUTO ONE」 兜町で再開発複合ビル開業 証券街の新ランドマークへ

 平和不動産は8月24日、東京都中央区日本橋兜町で複合ビル「KABUTO ONE(カブトワン)」を開業した。18年に東京圏国家戦略特別区域の国家戦略都市計画建築物等整備事業として認定された、山種不動産(東京都中央区、木下典夫社長)およびちばぎん証券(千葉県千葉市、木村理社長)との共同開発事業で、金融・証券街である兜町の新たなランドマークとして周辺地域の活性化を目指す。

 「カブトワン」は東京メトロ茅場町駅至近の立地で、22年12月には同駅直結の通路が開通予定。建物は地上S造・地下SRC(一部S)造で、地上15階地下2階建て、延べ床面積は約3万9200m2。1フロア当たり約1900m2と近隣では最大級(同社調べ)のオフィスをはじめ、店舗、ホール、貸し会議室、ラウンジなどを備える。

 オフィスフロアには金融・証券関連を中心として、シェアオフィス「WeWork」も拠点を置くなど、既に入居企業が決定しており「満室にて順次稼働する」(平和不動産)予定。企業の業務拠点のほか、大型ホールにおける株主総会等の利用を想定すると共に、投資家と企業の交流拠点としての活用も見込む。

 更に、世界最大規模(同社調べ)の箱型LEDディスプレイ「The HEART」を、同物件の〝目玉〟として1階ロビーに設置。4分割・回転する大型ディスプレイで、リアルタイムのマーケット情報を提供していく。外観は低層階部分に門をイメージしたデザインを採用し、国内証券市場の〝ゲート〟としての存在感を主張する。

 8月24日に開かれた竣工式で、平和不の土本清幸社長は「一般的に、再開発は地域の理解を得ることが一つのハードルとなるものの、今回は町会を挙げてこのプロジェクトに賛同してもらえた。今後も地域の方々と手を携え、継続的に兜町・茅場町エリア全体のバリューを高めていきたい」と意気込みを語った。また「カブトワン」の名称の由来にも触れ、「兜町が日本の近代経済の始まりの地であるという思いを名称に込めた当物件で、投資家と企業の出会いの場を提供すると共に、ビジネスだけでなく多様な人々に喜んでもらえる街づくりを目指す」と方針を述べた。

 今回の竣工により、現在は「仮使用」での開業という扱いであり、建物の地上部分と駐車場が稼働。22年12月の茅場町駅との接続通路開通と共に地下1階部分を含めた建物全体の利用を開始し、23年8月に全工事を完了して本格稼働する見込みだ。

 なお、「カブトワン」は同社の兜町・茅場町における再開発事業の第1弾プロジェクトという位置付けであり、同社は〝第2ステージ〟としての街づくりプロジェクトも進めている。