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21年度新卒入社アンケート調査 「予定通り」8割に上昇 オンラインと対面併用に課題

 住宅新報が実施した「主要住宅・不動産会社新卒入社アンケート」(回答企業45社)調査によると、80.0%の企業が「予定通りの人員を採用できた」と回答した一方、一部ではあるものの採用がゼロの企業もあった。新型コロナウイルスの影響は、対面による採用活動が制限されたことが大きく、予定数の採用の可否にかかわらず、学生とどう接触して、志望意欲を継続させていくのかが課題との認識を示す企業が目立った。昨年は中止や延期が相次いだ入社式は、今年は予定通り行われた企業が多かった。ただ、出席者の絞り込みによる規模の縮小や検温、間隔を空けるなどの感染対策の徹底やオンラインとの併用など例年とは異なる緊張がある式典となった。

 アンケートによれば、「予定通りの人員を採用できた」と回答した企業は、80.0%に上り、前年の水準を約10ポイント上回った。45社のうち15社が前年よりも採用人数を増やしたが、前年の26社からは大きく数を減らした。新卒採用者の45社合計は5274人で前年比24.2%減と大幅な減少となった。減少幅を踏まえると、全体では前年よりも採用水準は落ち込んでいる。

 採用活動は、新型コロナの影響を受けた。採用活動が本格化する時期に、大学施設の閉鎖や学内説明会が中止されるなど企業側の採用活動は大きな見直しを迫られた。一方で、インターンシップや面接、グループディスカッションといった人を集めた手法が制限される中で、オンラインによる採用活動を活発化。ただ、「インターン時期から応募してくれた学生のほどんどがオンラインになっていたため、継続的にフォローしていく施策が限られていた傾向」「対面での面接に慣れていない様子の学生が多かった」「直接社員と会うことができる機会が減少しているため、」入社の動機付けが難しくなっている」などの課題も明らかになった。手探りながらも継続的に学生と接触する機会を設けることに成功した企業では、予定通りの採用を行えたと思われる。

 今年の入社式は、中止が相次いだ昨年からは一変し、ほとんどの企業で実施することになった。会場では検温など感染対策の徹底と役員など参加人数の絞り込みを行い、新入社員同士も間隔を空けて座るといった工夫を行って開催した。また、オンラインでも同時に開催し、リアルな会場とオンラインを併用した入社式も目立った。

 22年度の採用計画では「横ばい」が最も多く29社に上った。次いで「今年より増やす」が8社、「今年より減らす」が4社、未定・無回答が4社となっている。比率は「増やす」が17.8%(21年度採用予想は26.6%)、「横ばい」が64.4%(同60.0%)、「減らす」が8.9%(同11.1%)、「未定・無回答」が8.9%(同2.2%)。「増やす」が8.8ポイント減少し、「横ばい」が4.4ポイント増加した。

 アンケートにおいて、予定人数の確保ができず、22年度採用を増やすと回答した企業からは、「建築土木学生の採用人数確保に課題」「今後はより柔軟に対応していく必要」との声もあった。

 依然として新型コロナの収束が見えない中で、手探りの採用活動が続いていくと言えそうだ。