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コロナ禍での明暗分かれる 大手住宅の上期受注額

 3月期決算の主要住宅メーカーの上半期(4~9月)受注金額速報がまとまった。住友林業とミサワホーム、パナソニックホームズの3社は、コロナ禍の中で一桁減にとどまった。緊急事態宣言などでモデルハウスなどの来場者が減少した中で、新商品や地震建て替え保証、オンライン営業の強化が明暗を分けた。

 個別企業の動向は次の通り。大和ハウス工業は、コロナ影響による営業活動への制限等を想定し、上期計画は前年同期比23%減とした。緊急事態宣言解除後、主にハウジング領域の受注が想定よりも堅調に推移し、4~9月の受注は全体で同19%減と当初計画を上回った。内訳は、戸建住宅事業がテレワーク拡大に伴う新規需要等で同13%減、集合住宅事業は根強い相続税対策需要などで同21%減、マンション事業は期初完成在庫の販売が進んだことなどから同17%減、流通店舗事業は前期までの豊富な契約残により同0%減だったが、ホテルの新規受注は厳しい環境が続いていると話した。

 住友林業は、上半期全体ではマイナス3%だが、戸建注文住宅はプラス4%。緊急事態宣言後にオンラインでの営業に注力し、ウェブからの資料請求が伸びた。加えて、8月後半から9月末までは、ウェブ上でイベントサイト「MYHOME PARK(マイホームパーク)」を実施した。同社の展示場の説明や住宅の構法、林修氏が同社の家づくりを解説する講義「住まいの学校」を配信するなどウェブでの集客に努め、9月度で前年同月比40%増になるなどの結果につながったのではないかと述べた。

 旭化成ホームズは、戸建て・集合共に棟数は減っているものの、1棟当たりの単価は前年比で増加。単価上昇の背景には、集合住宅におけるペット共生型住宅などの付加価値型賃貸や中高層賃貸、「ヘーベルヴィレッジ」などシニア向け賃貸に注力してきたことを挙げた。

 三井ホームは、棟単価は19年と比べてあまり変わっていないが棟数減少の影響が大きい。緊急事態宣言で、年間で最も来場者が期待できる5月のモデルハウス来場者数が8割減となり、上半期全体の受注に影響したと話した。

 ミサワホームは、4~7月まではマイナスが続いたが、7月に販売した戸建て新商品「PRIME SMART(プライムスマート)」が好調、8月度は前年同月比9%増、9月は同6%増となり、上半期全体では前年同期比で6%減。コロナ禍の影響は少なくなりつつあると説明した。

 パナソニックホームズは、上半期の戸建て住宅が前年同期比104%、分譲住宅が同103%、マンションが同96%、集合住宅が同86%で、全体では4%減となった。戸建て住宅と分譲住宅では、生活様式が変化したことを受けて、ワークスペースの提案や、在宅時間の増加に対して全館空調や浄化能力の高い「HEPAフィルター」の設置など空気質にこだわる提案を行って単価増につなげた。

 また、4月から戸建て・集合住宅を対象に地震の揺れによる全壊・半壊の建て替えなどを保証する、掛け金不要の「地震あんしん保証」の付帯サービスを開始したことが信頼性の強化につながったと話した。