総合

大言小語 環境変化に適応する

 大震災や台風、または最近の外出自粛といった暮らし方、更にテレワークや時差出勤などの働き方でも、急激な変化に対して人々の本質が見えてくるとはよく言われること。在宅時間が増えると、マンションであれば、生活音や生活ごみの増加、バルコニーでの喫煙などに苦情が増えがちで、ストレスがたまる。

 ▼この時節柄では、エアコンや給湯器などを使用する時間が増え、故障のリスクが高まる。物件オーナーや賃貸管理会社は、入居者からの苦情の対応に追われる。改正民法で瑕疵担保責任から契約不適合責任に代わり、また、今般の国民総引きこもりの状況では、そうした不具合に対して家賃の「当然減額」を過度に求める声が増えるかもしれない。

 ▼自身の子供時代を振り返ると、夏の盛りも自宅には扇風機しかなく、よく学校帰りには、エアコンの効いた郵便局に立ち寄り、足ボタン式の冷水機で涼を取ったものだ。毎日通い過ぎて時々、注意も受けた。塾や学校の教室では、うちわの代用に下敷きを振って風を得ていた時代も今や懐かしい。

 ▼変化に柔軟に対応できるのは、人間が高度に知的な動物であるからこそ。非対面のオンライン化や電子化が一層進んでも、人ならではの事柄は残る。ニューノーマル(新常態)では、すべてを刷新する必要はない。ただ、どう暮らし、働くのか。各自、各社に各様の工夫と適応が求められ、真価が問われるのは確かだろう。