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大言小語 後ろ向きから前向きへ

 早くも4月半ば。東京の桜はいつの間にか見頃が過ぎてしまった。目には映っていたのだろうが、新型コロナウイルスのせいで心ここにあらず。例年なら新入社員の姿がまぶしい時期だが、今年はその姿を見かけることは少ない。入社式も規模を縮小したり、その後の研修も在宅で実施している会社もあると聞く。今年の新入社員は、これまでに入社した社員とは会社に対して違う感覚を持つのではないか。いきなり一人で放り出されたような…。

 ▼今回の感染症拡大を受け、ついに政府は緊急事態宣言を出した。海外のような都市封鎖はしないとのことだが、日常の行動は大幅に制限される。在宅勤務を余儀なくされ、先輩社員も大いに戸惑うのではないか。先輩社員も新入社員も時代の大きな転換点を迎えているのかもしれない。

 ▼企業は規則づくりや環境整備が整わない中、見切り発車で在宅勤務に切り替えたが、これからはステージが変わる。〝コロナ対策〟という後ろ向きの理由から始まった在宅勤務を、前向きな働き方改革の中心に据えてはどうか。

 ▼会社も社員も〝ポストコロナ〟をにらんで、新たな社会づくりに挑むときだ。なかでも個人はなによりも自立が求められる厳しい時代になる。自分にとって会社とは何か、自分が社会や会社のために何ができるのか、それを見極めなければこれからの働き方改革には置いてきぼりにされてしまう。