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大言小語 土地の価値とは

 「土地の価値が下がる」「学校レベルは高いし、習い事もしている。施設の子にはつらいのでは」……。耳を疑うような〝住民〟の意見が飛び交った。東京都港区南青山に、同区が建設を予定している「子ども家庭総合支援センター(仮)」の近隣住民への説明会での出来事だ。

 ▼「なぜ、こんな一等地に建設する」「(土地がある)田町に造ればいい」「ランチの単価が1600円する所だぞ」。いやはや、反対派の住民の意見は何ともかまびすしいが、いったい土地の価値を下げているのは誰なのだろう。

 ▼この施設は、児童相談所のほか、子育て支援の拠点として幅広く相談に応じる「子ども家庭支援センター」などの役割を担う。確かに、東京メトロの表参道駅から徒歩3分ほど、青山通りから裏に入る所で、周りには最近騒がせた〝ドルガバ〟などのファッションビルがある。だからといって、土地の価値が下がるだろうか。住民も皆が反対なのではなく、賛成している人も多い。

 ▼この近くでは、児童が遊べる施設として人気のあった「こどもの城」が開発に伴い閉園している。更にこうした騒動があれば、子育てに冷たい、ブランドの街として認知されるかもしれない。幸い、用地は1000坪ほどある。港区側も、反対派の住民の声を聞きながらも、児童遊戯施設などを併設し、街ぐるみでサポートするなど工夫して、素晴らしい施設を建設してほしい。