平昌オリンピックのスキージャンプで、高梨沙羅選手が悲願のメダルを獲得した。腰をかがめ集中力を高めながら急斜面を滑り降り、空中に飛び出す瞬間に一気にジャンプするあの競技は、人生そのものにも見えてくる。その時々で吹く風向きに左右される点も含めてだが。
▼充実した人生を送るためには、大人になるまでの長い、しかしあっという間でもある助走期間に十分に力をためることが必要だ。社会に出るとき、あるいはもう少し先かもしれないが、いずれは大きな決断と共に自分の目標に向かって挑戦していく。
▼日々の仕事も同じだろう。いい仕事をするためには、入念な準備期間が欠かせない。しかし、いつまでも決断を先延ばしにしていると、せっかくのチャンスを逃してしまうリスクがある。飛び出す瞬間を見極めるには普段から集中力を高める訓練をすべきだろう。
▼住宅・不動産業界が今、大きな変革期にあることは間違いない。経営者も、そこで働く社員も目先の業務に追われがちだが、10年先に不動産業がどう変わるのか、不動産会社から見るとどのような社員を育成しなければならないのか――見極めなければならないことはたくさんある。更にそれを実行に移すタイミングも重要だ。テレビで見ていると、タイミングよく踏み切った時ほど空中での姿勢が美しい。
