コンプライアンスは法令順守のことで当たり前のことだが、徹底されない。改めて強調しなければならないほど世の中は世知辛くなってきたということか。
▼管理組合の資金流用事件が昨年度、数件起こったマンション管理業協会。「全ストックの92%を管理する団体として重大さを認識。従来の制度に加え、今年度から新たな特別研修を実施する」(山根弘美理事長)とした。管理組合運営を支える役割を担い、地道に信頼を積み重ねる業務だけに、事件で失うものは小さくない。会社組織や日常業務の手順などを含め、改めて点検する必要がありそうだ。
▼建設工事関係の足元の法令順守はもちろんだが、最近増えてきた工事受注企業に手数料などを要求する動きに対し、「注意」を促したのがマンション計画修繕施工協会。「管理組合が承知していないものだ。商慣習としても是正していかなければならない」(坂倉徹会長)。大規模修繕工事は通常入札・相見積もりで業者選定が行われ、ガラス張りで審査されるが、その後に不透明な金銭のやり取りがあるのは大きな問題である。
▼賃貸住宅仲介でも「広告代」や「担当者ボーナス」を支払う慣行がある。入居者確保の苦肉策だが、その費用は空室で困っている建物オーナーが実質的に負担している。これも宅建業法ではグレーゾーンとなるはずだが。〝落とし穴〟はどこにでもあるようだ。
