政策

社説 全国住宅産業協会が始動 存在感ある活動を期待

 日本住宅建設産業協会と全国住宅建設産業協会連合会が合併し、4月1日付で新団体・一般社団法人全国住宅産業協会(全住協)がスタートを切った。全国1370社が加盟する、中堅企業団体が大同団結したもので、中堅企業がその存在感を高め、住宅・不動産業界活性化への先導役を担う業界団体として、今後の活動を大いに期待したい。

 神山和郎会長は就任会見で、「数ある業界団体の中でも、会員数などのボリュームでは重要な一角を占めることになった。政策提言を積極的に展開したい」と抱負を述べたうえで、直面する消費税増税への対応や、賛助会員を含めて全国2000社体制を目指す組織拡大策などについて考え方を示した。マンション供給や不動産流通など各分野で大手による寡占化傾向が指摘され、中堅企業の存在感がやや低下しているようが、この状況をどう打開していくか、今後の取り組みが注目される。

 中堅企業の立ち位置は、ある種独特だ。資金力に優位な旧財閥系や金融・事業会社グループに所属する業界大手企業と、地域に根差し、圧倒的な数の中小事業者集団の間に位置し、両者を結びつける存在でもある。また、上場企業に成長した企業を数多く輩出してきた実績もある。

中堅企業の強み生かそう

 全住協は1960年設立の日本宅地造成協会と全国宅地造成連合会、日本分譲住宅協会、住宅産業開発協会の中堅4団体を母体に、時代の変化と共に統合して今日に至った。全住協に一本化されたことで、今後は会員獲得にも弾みがつきそうだが、そのカギは協会への加盟メリットをどう引き出すことができるかである。

 神山会長は「マンションディベロッパーやパワービルダー、仲介、賃貸管理、リフォームなど多種多様な業種が加盟している。情報交換することでビジネスチャンスにつながる」ことを売り物にすると共に、新たな会員支援策などを検討していく考えだ。

 中堅企業は元々元気な企業の代名詞であり、経済活性化や業界活力の源泉であるという見方がある。独自の発想と経営手腕を持った創業社長が多く、決断が早く、小回りが利くのがその強みである。

 だが、08年のリーマンショックでは、金融面に基盤の弱い中堅企業は大きな打撃を被った。今、そこから立ち上がり、再び攻めの好機を迎えた。「大手ではできないことを。1社でできなければ数社でJVを組んで」(神山会長)、中堅企業の特徴を生かした事業展開に、果敢に挑む時である。

 中堅企業が元気を取り戻し、新たな中堅企業を育み、事業意欲を呼び戻し、業界に活力を吹き込むような取り組みを望みたい。