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阪急阪神不動産が建替え事業 コロナ禍も制度活用に苦心 都心の築50年を解体着手

 阪急阪神不動産は12月、東京都港区で進めている「マンション京都白金台建替事業」における既存建物の解体工事を着工した。マンション建替えに関する制度を活用し、築50年の老朽化マンションを刷新する計画で、コロナ下で苦心しながらも滞りなく計画を進めている。

 「マンション京都白金台」は71年竣工の分譲マンションで、耐震性不足や配管の劣化などを受け、18年に阪急阪神不動産が管理組合から事業協力者として選定され建替えの検討が進められてきた。

 事業性を高めるため、公開空き地の確保などにより港区の容積率緩和制度を活用し、21年5月にマンション建替え円滑化法に基づきマンション建替え組合を設立。同社は参加組合員として参画し、容積率緩和による保留床を取得して分譲事業を行う。管理組合は保留床取得の対価を工事費等に充て、事業費用の課題を解消することで建替えの実現に結び付けた。

協力し早期合意形成

 同建替え事業の具体化を支える容積率緩和だが、同区の定める建物の絶対高さ制限が懸念材料となっていた。20年9月までは経過措置として制限の対象外となっていたものの、申請等が期限を過ぎれば、同物件の所在する地区では同制限により容積率緩和を活用しきれず事業性を損なう恐れがあった。

 そこで同社と管理組合は、早期の合意形成を目指すなど事業の推進に注力。期限内の同年8月に建替え決議が成立し、同年11月に容積率緩和の許可を受けた。21年5月にはマンション建替え組合が設立され、同年11月に権利変換計画の認可を受けて事業が本格化した。

 同社の事業担当者は「制度活用の期限が迫る中、コロナ禍により従来の形での説明会等を行うことができず、企画の進行には困難が伴った。当社と組合、区分所有者が互いに工夫しながら取り組んだことで実現できた事業」と振り返る。

建替え後分譲は二十数戸

 同社は今後1年かけて既存建物を解体し、22年12月1日に建替えマンションの新築工事を着工する予定。竣工は25年夏頃を見込む。「事業は順調に進んでおり、現在のところ計画通りの進ちょく状況」(担当者)だという。

 同物件は東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線の白金台駅から徒歩4分の立地。建替え前の建物は11階建てで、総戸数は65戸。建替え後は地上19階地下1階建てで総戸数は72戸、間取りは1LDK~3LDK、専有面積は約42~162m2となる。

 建替え後には二十数戸が分譲に充てられる予定で、分譲住戸の専有面積は約50~100m2台。販売価格については未定ながら、都心好立地の新築物件ということもあり、担当者は「(高水準に設定できるよう)頑張りたい」と話している。